Coreマイクロアーキテクチャ・LGA 775版
Coreマイクロアーキテクチャは、2006年から登場したインテルCPUの基本設計で、2009年ごろまで主流でした。デュアルコアやクアッドコアというマルチコア化を普及させたプラットフォームです。前世代のNetBurstマイクロアーキテクチャまでは、シングルコアでひたすらクロック数を上げることで高性能化を図っていました。しかし、発熱問題と消費電力の高さからそのやり方は一旦終止符を打つこととなりました。
Coreマイクロアーキテクチャは、もともとモバイル・パソコン向けに開発されてきた経緯があり、消費電力と発熱が低いのが特長を持っていました。クロック数はやや控えめになったものの、コア数を増やすことで処理速度を向上させています。Coreマイクロアーキテクチャの登場により、データ処理中でも別の作業をするといった複数同時作業(マルチタスク)が普通となりました。ソフトウェアにて高速化するには、アプリケーションがマルチスレッドに対応する必要があるので、このころからマルチコア対応ソフトの開発も進みました。
Coreマイクロアーキテクチャ/CPUソケット:LGA 775版/2006年~2009年まで主流 | |||
開発コード名: | ファミリー | コア数 | プロセス |
Conroe(コンロー) | Core 2 Duo E6000番台 | 2コア | 65nm |
Kentsfield (ケンツフィールド) | Core 2 Quad Q6000番台 | 2コア × 2 | |
Wolfdale(ウルフデール) | Core 2 Duo E8000番台 Core 2 Duo E7000番台 |
2コア | 45nm |
Pentium Dual-Core E6000番台 | |||
Celeron Dual-Core E3000番台 | |||
Yorkfield (ヨークフィールド) | Core 2 Quad Q9000番台 Core 2 Quad Q8000番台 |
2コア × 2 |
Coreマイクロアーキテクチャのデュアルコアには、Core 2 Duo、Pentiumデュアルコア、Celeronデュアルコアがあります。
Coreマイクロアーキテクチャ登場の翌年、2007年1月にはCore 2 Duoの上位版としてクアッドコアのCore 2 Quadが登場。急な低価格化もあってクアッドコアブームを巻き起こしました。しかし、デュアルコアを2つ内蔵しただけなのでこの段階では「真のクアッドコア」ではありません。4コアが統合された真のクアッドコアは、2008年登場のNehalemマイクロアーキテクチャ(Core i7シリーズ)からです。
Coreマイクロアーキテクチャの構造
Coreマイクロアーキテクチャの基本構造を解説します。CPUソケットはLGA 775。CPUが各パーツとアクセスするためにはチップセットを経由します。
チップセットはノースブリッジとサウスブリッジの2つ。CPUとノースブリッジはFSBによって接続。メモリ規格はDDR2が主体でしたが、一部のチップセットは次世代となるDDR3にも対応していました。ただ、このころはDDR3が高価だったのでDDR3の搭載は稀でした。メモリはデュアルチャンネルに対応。
このころのCPUは、すべてチップセットを介してCPUが各PCパーツとコンタクトを取っていました。PCパーツのなかでも高速転送されるグラフィックカード(GPU)やメモリは、ノースブリッジを介してCPUとやり取りします。ノースブリッジによっては内蔵グラフィック(オンボードグラフィック)を持つものがあり、ライトな使用であればグラフィックカードを必要としません。
サウスブリッジは比較的低速なパーツとの中継になります。キーボードやマウスなどのI/Oコントローラ、USB端子などの外部インターフェース、HDD・SSDなどです。 CoreマイクロアーキテクチャのSATA規格対応ではSATA2.5(3Gbps)に対応し、後に登場するSATA3.0(6Gbps)には未対応です。
Gがつく、G31~G35、G41~G45ではオンボードグラフィックを内蔵。G45のGMA X4500HDで、ようやくブルーレイや地デジなどのHDコンテンツがオンボードグラフィックで対応できるレベルになりました。Coreマイクロアーキテクチャでは4シリーズのチップセットが最後。
Coreマイクロアーキテクチャ/後期のチップセット(ノースブリッジ) | ||||
チップセット (ノースブリッジ) |
対応CPU ※Core 2 Duo / Quad以外 |
オンボード グラフィック |
対応メモリ | システムバス FSB |
X48 | Core 2 XE、Pentium Celeron (800MHz FSB以上) |
- | PC3-12800 PC2-6400 |
1600MHz |
P45 | Celeron (800MHz FSB以上) | - | PC3-8500 PC2-6400 |
1333MHz |
P43 | Celeron (800MHz FSB以上) | - | PC3-8500 PC2-6400 |
1333MHz |
G45 | Celeron (800MHz FSB以上) | GMA X4500HD | PC3-8500 PC2-6400 |
1333MHz |
G43 | Celeron (800MHz FSB以上) | GMA X4500 | PC3-8500 PC2-6400 |
1333MHz |
G41 | Celeron (800MHz FSB以上) | GMA X4500 | PC3-8500 PC2-6400 |
1333MHz |
X38 | Core 2 XE、Pentium Celeron (800MHz FSB以上) |
- | PC3-10600 PC2-6400 |
1333MHz |
P35 | Core 2 XE、Pentium Celeron (800MHz FSB以上) |
- | PC3-8500 PC2-6400 |
1333MHz |
P31 | - | - | PC2-6400 | 1333MHz |
G35 | - | GMA X3500 | PC2-6400 | 1333MHz |
G33 | Pentium Celeron (800MHz FSB以上) |
GMA 3500 | PC3-8500 PC2-6400 |
1333MHz |
G31 | - | GMA 3500 | PC2-6400 | 1333MHz |
Coreマイクロアーキテクチャのデュアルコア
Coreマイクロアーキテクチャのデュアルコアでは2コアを実装。2次キャッシュメモリが共有して使われます。主なブランドは「Core 2 Duo、Pentium Dual-Core、Celeron Dual-Core シリーズ」。 同じCoreマイクロアーキテクチャの技術でも、後期では改良が加えられリニューアルされています。プロセスルールは「65nmか45nm」。FSBは「800 MHz、1066 MHz、1333 MHz」。 同技術間での区分けは開発コード名で把握すると理解しやすいです。黎明期はConroe(コンロー)。後半はWolfdale(ウルフデール)です。
開発コード名:Conroe(コンロー)
前期のCore 2 Duoです。 (2006年7月~)。プロセッサナンバーはE6000番台。プロセスルールが65nm。プロセッサーナンバー | コア数 | 動作周波数 | 2次キャッシュ | FSB | プロセス |
Core 2 Duo E6700 | 2コア | 2.66 GHz | 4 MB | 1066 MHz | 65nm |
Core 2 Duo E6600 | 2.40 GHz | ||||
Core 2 Duo E6420 | 2.13 GHz | ||||
Core 2 Duo E6320 | 1.86 GHz | ||||
Core 2 Duo E6850 | 2コア | 3.00 GHz | 4 MB | 1333 MHz | |
Core 2 Duo E6750 | 2.66 GHz | ||||
Core 2 Duo E6550 | 2.33 GHz | ||||
Core 2 Duo E6540 | 2.33 GHz |
開発コード名:Wolfdale(ウルフデール)
後期Core 2 Duo (2008年1月~) 。プロセスルールが以前の65nmから45nmへと微細設計化。プロセッサナンバーは上位のE8000番台、廉価版のE7000番台です。2次キャッシュメモリやFSBにスペックの差があります。プロセッサーナンバー | コア数 | 動作周波数 | 2次キャッシュ | FSB | プロセス |
Core 2 Duo E8600 | 2コア | 3.33 GHz | 6 MB | 1333 MHz | 45nm |
Core 2 Duo E8500 | 3.16 GHz | ||||
Core 2 Duo E8400 | 3.00 GHz | ||||
Core 2 Duo E8300 | 2.83 GHz | ||||
Core 2 Duo E8200 | 2.66 GHz | ||||
Core 2 Duo E7600 | 2コア | 3.06 GHz | 3 MB | 1066 MHz | |
Core 2 Duo E7500 | 2.93 GHz | ||||
Core 2 Duo E7400 | 2.80 GHz | ||||
Core 2 Duo E7300 | 2.66 GHz | ||||
Core 2 Duo E7200 | 2.53 GHz |
プロセッサーナンバー | コア数 | 動作周波数 | 2次キャッシュ | FSB | プロセス |
Pentium Dual-Core E6800 | 2コア | 3.33 GHz | 2 MB | 1066 MHz | 45nm |
Pentium Dual-Core E6700 | 3.20 GHz | ||||
Pentium Dual-Core E6600 | 3.06 GHz | ||||
Pentium Dual-Core E6500 | 2.93 GHz | ||||
Pentium Dual-Core E6300 | 2.80 GHz |
プロセッサーナンバー | コア数 | 動作周波数 | 2次キャッシュ | FSB | プロセス |
Celeron Dual-Core E3500 | 2コア | 2.70 GHz | 1 MB | 800 MHz | 45nm |
Celeron Dual-Core E3400 | 2.60 GHz | ||||
Celeron Dual-Core E3300 | 2.50 GHz | ||||
Celeron Dual-Core E3200 | 2.40 GHz |
Coreマイクロアーキテクチャのクアッドコア
Coreマイクロアーキテクチャのクアッドコアでは、4コアのネイティブではなく、2コア×2を実装。つまり、デュアルコアを2つパッケージ化した「なんちゃってクアッドコア」。ブランドは「Core 2 Quadシリーズ」でCore 2 Duoの上位ブランド。
2次キャッシュメモリが共有して使われます。デュアルコアが2つあるため、2次キャッシュメモリも2つあります。 同じCoreマイクロアーキテクチャの技術でも、後期では改良が加えられリニューアルされています。プロセスルールは「65nmか45nm」。FSBは「1066 MHz、1333 MHz」。 同技術間での区分けは開発コード名で把握すると理解しやすいです。黎明期はKentsfield (ケンツフィールド)。後半はYorkfield (ヨークフィールド)です。
開発コード名:Kentsfield (ケンツフィールド)
2007年1月に登場したCore 2 Quad Q6000番台。プロセスルールは65nm。特にCore 2 Quad Q6600は2007年末に大幅値下げされた経緯があり、一般ユーザーがクアッドコアを普通に導入するようになった「クアッドコア・ブーム」の火付け役でした。プロセッサーナンバー | コア数 | 動作周波数 | 2次キャッシュ | FSB | プロセス |
Core 2 Quad Q6700 | 2コア × 2 | 2.66 GHz | 4 MB × 2 | 1066 MHz | 65nm |
Core 2 Quad Q6600 | 2.40 GHz |
開発コード名:Yorkfield (ヨークフィールド)
2世代目のCore 2 Quad。2008年から2009年にかけてラインナップが登場。プロセスルールが以前の65nmから45nmへと微細設計。さらに以前の1066 MHzから1333MHz FSBへ引き上げ。Q8000シリーズは廉価版で、2次キャッシュが少なめです。プロセッサーナンバー末尾にsがつくのは省電力版。プロセッサーナンバー | コア数 | 動作周波数 | 2次キャッシュ | FSB | プロセス |
Core 2 Quad Q9650 | 2コア × 2 | 3.00 GHz | 6 MB × 2 | 1333 MHz | 45nm |
Core 2 Quad Q9550 Core 2 Quad Q9550s |
2.83 GHz | ||||
Core 2 Quad Q9450 | 2.66 GHz | ||||
Core 2 Quad Q9505 | 2コア × 2 | 2.83 GHz | 3 MB × 2 | 1333 MHz | |
Core 2 Quad Q9400 Core 2 Quad Q9400s |
2.66 GHz | ||||
Core 2 Quad Q9300 | 2.50 GHz | ||||
Core 2 Quad Q8400 Core 2 Quad Q8400s |
2コア × 2 | 2.66 GHz | 2 MB × 2 | 1333 MHz | |
Core 2 Quad Q8300 | 2.50 GHz | ||||
Core 2 Quad Q8200 Core 2 Quad Q8200s |
2.33 GHz |
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※DELLは、「顧客満足度調査 2019-2021年 デスクトップPC部門3年連続1位」 ※出典-日経コンピュータ 2020年9月3日号より
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