小田原北条に反旗を翻した、唐沢山城

関東七名城の一つである唐沢山城は、小田原攻めの際には豊臣秀吉側についた佐野房綱の城。築城者は平安中期、平将門討伐で有名な藤原秀郷とされる。そして城主の佐野氏は、藤原秀郷の子孫だと言われる。城主である佐野氏は小田原攻めが始まると豊臣方に従い、城内の北条勢を追い払う。また、大正天皇が皇太子時代に行啓された地でもある。

二大勢力に挟まれる佐野氏の唐沢山城

唐沢山城は現在の栃木県佐野市にあったため、南は北条氏、北は上杉氏の二大勢力に挟まれる環境でした。佐野氏は上杉についたり、北条についたり、小田原攻めの時は豊臣に、関ヶ原の戦いでは徳川についており、情勢にあわせて生きてきた一族です。

関東七名城の一つである唐沢山城
1587年に北条氏康の五男・氏忠を養子に迎えています。しかし、小田原攻めが始まると豊臣方に従い、城内の北条勢を追い払いました。

登城は東武佐野線堀米駅からスタート。本丸跡に唐沢山神社へ向かいますが、すぐに長い登山となります。山らしい山がない関東ですが佐野市あたりから山岳となり、北に向かって那須岳といった山々に連なっていきます。唐沢山城は県立自然公園として整備されており、ハイキングが楽しめるようになっています。

県立自然公園入り口より少し手前には「鏡石」が現存しています。10度に渡る上杉謙信の攻撃を撃退したという鏡石。当時は鏡のように磨いてあり、西日が照り返すことで目眩まし攻撃をかけたそうな。例えるならドラゴンボールの太陽拳と同じ効果。現実の世界でそんなものが通用するのか眉唾物ですが、ネタとしては興味があります。

天狗岩

県立自然公園入り口はかつての城門跡で、桝形を通過した後には名物の天狗岩がありあります。かつての物見台です。

県立自然公園入り口はかつての城門跡
この物見台は天狗岩と呼ばれています。おじいさんがラジオを聞きながら延々と景色を眺めていました。

関東平野が一望できます。天候条件によっては、新宿のビル群が見えるそうです。今回は、「なんとなくビル群のような」という感じでした。

関ヶ原の戦いでは徳川に付いた佐野氏ですが、その後、佐野藩として安堵されました。あるとき、ここから江戸の火事が見えたので見舞って江戸に駆けつけたそうです。
忠義心のつもりだったのでしょうが、逆に家康に警戒されたようです。「江戸を見下ろせる位置にあるとはけしからん！」ということで、1602年ごろには唐沢山城は廃城。新しく築城した佐野城へ引越しとなります。※理由は一説であり、山城禁止令のためという説もあります。

ちなみに、現在の佐野駅ちかくにある佐野城山公園が佐野城（春日岡城）です。（※写真は佐野城石碑）。もともと佐野厄除け大師（惣宗寺）があったのですが築城のため退去させられ、ここから数キロ先の現在の位置にあります。

こちらが移転した現在の佐野厄除け大師（惣宗寺）。年末年始のCMでお馴染みのゴージャスな寺です。

三の丸近辺

唐沢山城の三の丸手前に大きな空堀。橋のかかっている場所は、当時は曳橋かと思われます。井戸も残る。

本丸：唐沢山神社

本丸跡にある唐沢山神社は明治時代になってから建立されました。

本丸南側の石垣。ここからのスポットはメジャーどころ。「関東一の石垣」と言われるくらいなので、そのスケールに圧巻。

本丸周辺が一番、石垣の見所で満載。戦国時代の代表とも言える野面積み。それにしても真ん中の石は大きすぎるのでは？この歪み具合もいい。

本丸南の外城にあたる南城曲輪には事務所が建っています（写真右下）。皇太子だった大正天皇がここに行啓されています。（明治27年）。

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