デル Studio XPS 435が搭載しているCore i7とは
「Core i7」は4つのコアをひとまとめ(1ダイ)にした、ある意味、真のクアッドコアです。
Core 2 Quadの後継となる存在ですが、構造自体が異なるため互換性がありません。そのためマザーボードやメモリなど、これにあわせたパーツが必要です。(デルパソコンを購入するなら意識する必要はありません。)
▲Studio XPS 435が搭載するCore i7の構造
Core i7のソケットはLGA1366で、LGA775のCore 2 DuoやCore 2 Quadとはサイズも構造も大きく異なり、チップセットを結ぶFSB(システムバス)は廃止されました。代わりにQPIというシステムでチップセットと結んでいます。
また、従来と異なりメモリーコントローラーをチップセットに内蔵せず、CPUに内蔵させたことでより高速転送を可能にしました。Core 2 DuoやCore 2 Quadには無い3次キャッシュメモリを実装しています。
最近値下がりし、多くのユーザーが導入しやすくなった「Core 2 Quad」もCore i7以前のクアッドコアCPUです。4つのコアを持つクアッドコアですが、厳密に言うと、デュアルコア2セットを1パッケージにしただけです。 専門的にいうと「2ダイのクアッドコア」です。
分断されるので、1ダイのCore i7より効率が悪くなります。
「Core 2 Quad」は2次キャッシュメモリは2コアごとに共有しています。(キャッシュメモリとは、CPUが内蔵するメモリで、メインメモリよりも高速にデータアクセスできます。低容量だがもっとも高速な1次キャッシュ、その次に高速な2次キャッシュ、というつながりです。)
メインメモリを管理する「メモリコントローラー」は外部にあるチップセットにあり、CPUはメインメモリに直接アクセスすることはできません。チップセットを介するためタイムロスが生じます。
▲Core 2 Quadの構造。
「う〜ん、意味がよく分からん」という方は、「Core i7は、Core 2 DuoやCore 2 Quad搭載パソコンとは大きく異なる構造で、より高速化されています!」と理解いただければと思います。
Core i7の大きな特徴として、以下の通りです。
ハイパー・スレッディング テクノロジーで、8スレッドが可能
物理的には4つのコアですが、ハイパー・スレッディング・テクノロジーにより擬似8コアで処理することが可能です。OSからは8コアとして認識されます。
ターボ・ブースト テクノロジー
通常、4つのコア(マルチコア)に電源供給がされていますが、マルチコアに対応していないソフトなどで高負荷を要求されたときに、一部のコアの電源供給を断ち、残りのコアに電源をまわします。いわゆる自動オーバークロック機能。
3次キャッシュメモリを搭載
これまで2次キャッシュメモリを共有する構造が主流でしたが、各コアごとに2次キャッシュメモリを配し、新たに3次キャッシュメモリを共有化。キャッシュメモリが増えることで、メインメモリへのアクセスが減り、ますますの高速化。
メモリコントローラーをCPUに統合
グラフィックカードやメモリを管理していたチップセットから、メモリ コントローラーを除き、メモリ コントローラーをCPUに統合しました。よってCPUがダイレクトにメモリへアクセス可能になり高速化。
FSBに代わり、より高速なQPIを採用
CPUとチップセットをつなぐ経路にQPI(QuickPath Interconnect)を採用することでデータ転送が高速化。従来のFSBはなくなりました。
メモリはDDR3を搭載
Core i7を搭載するパソコンにはDDR3のメモリが必須となります。現在主流のDDR2には対応しません。また、同じ仕様のメモリを3枚搭載することで高速化される「トリプルチャンネル」に対応します
ハイパフォーマンスのグラフィックカード搭載
ATI Radeon HD 4850 512MB (DVIx2/TV-out付) の上級者向けグラフィックカード搭載なので、ほとんどのゲームは対応できるでしょう。
雑誌の情報では、かなり高負荷な3Dゲーム「ラスト・レムナント」のベンチマークテストにおいて、1680×1050の解像度で快適レベルとされています。(1920×1200ではやや難。)ちなみにGeForce 9500GT、9600GT(59W版)より高い結果です。
また、ATI Radeon(TM) HD 4000シリーズはUVD2という動画再生支援機能を持っています。しかも、UVD2は動画再生支援機能を2つ持つので、2画面同時再生のコンテンツにも対応できます。これなら高負荷なHDコンテンツの再生にも安心です。
(ちなみに、ATI Radeon(TM) HD 4000シリーズより一つ前の3000シリーズは、UVDという動画支援機能で、こちらは1つの動画支援となります。)
ATI Radeon(TM) HD 4850のグラフィックカードといえば、市場では2万円くらいするパーツです。グラフィックワークにも活躍が期待できますね。
またビデオメモリが大容量の512MBなので、3D描写の膨大なテクスチャ格納や30インチワイドを超える高解像度モニタでの接続に大いに活躍します。
DVI端子が2つ付いていて、2つのモニタへ同時出力できるデュアルモニタに対応しています。CGクリエーターや株トレーダの多くは、作業画面拡大のためにデュアルモニタを活用しています。
大容量6GBメモリ搭載
64bit OSならではの大容量6GBメモリ搭載。現在主流の32bitOSでは、4GBメモリ搭載しても3GB弱までしか使用できません。大容量メモリの搭載は、唯一64bit化のメリットです。そして3枚同時搭載によって高速化される「トリプル・チャンネル」仕様。
大容量750GB HDD搭載
今回のパッケージには、大容量の750GB HDDを搭載。地デジチューナーを付けてたっぷり録画しても、かなり充分な容量です。
Studio XPS 435は、斬新なデザイン
半透明ブラックの前面にピュアホワイトのサイド。縁にはオレンジ・ラインであしらったデザインです。斜体かかったボディに天井はメディアトレイといわれる窪みがあります。
メディアトレイには携帯電話やデジタル・オーディオプレイヤーなどUSB経由で充電する機器を置けて、メディアトレイに装備されているUSB端子が使えます。
Studio XPS 435は、拡張性のある設計
上級者も納得の拡張性 HDDは3台、光学ドライブ2台搭載できる拡張性を持ち、拡張カードのスロットは、PCIが1つ、PCI Express×1が3つ、PCI Express×8が1つ、PCI Express×16が1つあります。
XPSならではのハイレベルなサポート
うれしいことにXPSシリーズは標準サポートが、下位ブランドのInspiron・Studioよりも手厚くなっています。
上記でも紹介しているように1年間翌営業日出張修理サービス(平日夜間・休日対応/保守パーツ含む)が付きます。
何かトラブルがあったとき、出張修理をしてくれるのは非常に便利です。発送の手間もないし、「いつ戻ってくるのか」と待たされることもありません。平日夜間・休日対応なので、平日忙しいサラリーマンにとって、かなり有力なサポートです。
InspironやStudioシリーズでは、有償サポートなのでXPSにするメリットは大きいです。
今回のパッケージ、64bit OSについて
64bit Vistaで32bitソフトが使えると聞いたけど
64bit Vistaには64bitソフトを使わなければなりませんが、32bitソフトも一部使えるという話があります。これは互換性というより、64bit Vistaが持つエミュレーターによって動作させています。
具体的にいうと、64bit OS内部に「32bit OSの仮想PC」を作り出し、これによって32bitソフトを動作させます。このエミュレーターをWOW64(Windows on Windows 64bit)呼びます。 たとえると、WindowsでMacを動かすようなもので、バーチャルPCとかの類ですね。 当然のことながら、64bit OSで32bitソフトを動かすには時間がかかり、32bit OSで動作するほうが速いのは言うまでもありません。
また、このWOW64は万能ではなく、たとえば、64bit版IE(Webブラウザ)でネット動画をみたところ、再生プログラム「Flash」が32bit対応のため動画が見られない場合があります。 つまり、64bitソフトと32bitソフト間のプログラム参照ができません。そのため、ドライバーを参照するようなソフトでは不具合が生じます。
32bitソフトを64bit Vistaで使うなら、動作が遅くなるか不具合が生じるかしかないので、64bitソフトを使うなら64bit Vista、32bitソフトを使うなら32bit Vistaが正しい選択です。 64bit Vistaだからメモリもたくさん搭載して、より速くなると思わないことです。
2009年4月現在、サウンドカードや地デジチューナーカード、無線機器などのドライバーがまだ64bitに対応しきれておらず、どうしても64bit化したいならメーカーのホームページをちゃんとチェックする必要があります。 フォトレタッチ・ソフトで有名な「Photoshop」の次期バージョンで64bitに対応する話もあるので、これから普及時期に入るかどうかというところです。
冒頭で説明したように、無理くり32bit化にしてしまうこともありですが、デルの保証対象がであることをお忘れなく。
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