XPS 8300ベンチマークテスト
XPS 8300はミドルレンジ機なので、インテル HD グラフィックス 2000で使うことは基本的にありませんが、ローエンド機では主流となるでしょう。そのインテル HD グラフィックス 2000のパフォーマンスを調べることにしました。
インテル HD グラフィックス 2000のパフォーマンスを調べる
XPS 8300はミドルレンジ機なので、DELLで販売する分にはグラフィックカードの搭載が標準となっています。しかしSandyBridge設計であるため、グラフィックカードがなくても動作可能です。その場合、CPUに統合されているGPUコアがグラフィック機能として動作します。
これは、いわゆるCPU内蔵グラフィックで「インテル HD グラフィックス」と呼ばれます。前世代設計である、NehalemマイクロアーキテクチャのClarkdale(2010年1月~)設計で初登場しました。SandyBridge設計では第2世代となりインテル HD グラフィックス 2000および3000となりました。、
2011年5月時点では、インテル HD グラフィックス 2000が大半を占めており、一部がインテル HD グラフィックス 3000です。
基本的にSandyBridge設計のローエンド・デスクトップでは、グラフィックカードを搭載しないパターンが多いので、「インテル HD グラフィックス 2000」仕様と考えてください。また、ミドル機であるXPS 8300を「インテル HD グラフィックス 2000」で使うことはほとんどないでしょう。
それでも、もし、グラフィックカードが不調で取り外すことがあっても、XPS 8300をそのまま使うことができるのはメリットですね。このコンテンツでは、XPS 8300ユーザーには意味がありませんが、インテル HD グラフィックス 2000のパフォーマンスをチェックしていきます。
レビュー情報は2011年4月時点。最新情報はDELLサイトにて。
SandyBridge仕様のCPUでは、CPUとGPU(グラフィック・コア)が初めて完全統合化されました(図はクアッドコアの場合)。前世代(Nehalemマイクロアーキテクチャ・Clarkdale)でも内蔵GPUはありましたが、CPUコアとは分離していました。
SandyBridgeでは統合化された上、内蔵GPUである「インテルHDグラフィックス」も2世代目となり、グラフィック性能が向上しています。
CPUのキャッシュメモリにも新構築が見られます。前世代では各コアが共有する3次キャッシュでしたが、新たにLLC(Last Level Cashe)を採用し、リングバスによるキャッシュの接続を行っています。ゆえに高速なデータ帯域を実現。ショートカットが可能なため、一般的なリングバスよりもムダのない構造です。
このLLCは、CPUコアと内蔵GPUが共有して使うことができます。 CPUは3次キャッシュとして使い、残った分を内蔵GPUが2次キャッシュとして使います。
Nehalem時代のHDグラフィックスは、Core i7には非搭載で、下位であるCore i5/i3に内蔵していました。後継であるSandy BridgeではCore i7を含め、すべてのシリーズにHD グラフィックスを内蔵しています。機能も強化され、HDグラフィックス 3000および、HDグラフィックス 2000が新たに登場しています。実行ユニット数は、HDグラフィックス 3000が12基,2000は6基。インテル サイトでは「前世代のインテル HD グラフィックスよりも最大3倍以上のパフォーマンス」と公称しています。
Direct 10.1に対応。HDMI1.4にも対応したので3D映像の出力も可能。現行のローエンド・グラフィックカードに近い性能があり、フルHDコンテンツでは益々安定した動作が期待できます。(HDグラフィックス 3000なら、RADEON HD 5450のグラフィックカードとほぼ同等らしい。)
これまで初心者でも「念のためローエンドグラフィックカードでも搭載してけば安心」という風潮がありましたが、それも無くなりそうです。
ただし、ハイレベルな3Dゲームが遊べるほどではないので、ゲームユーザーならび中級~上級者はグラフィックカードの搭載が必須です。その点、グラフィックカードを搭載するつもりがないエントリーユーザーにはかなり恩恵がかなりありますね。
ハードウエアによるデコード・エンコード処理機能
2世代HD グラフィックスでは、動画編集では要であるデコードとエンコードの処理が機能強化されています。処理エンジンである「マルチフォーマットコーデック」を大幅強化。ブルーレイ映画を観るユーザーなら、動画再生支援にQuick Sync Videoが備わっていると思えばいいでしょう。
Quick Sync Videoでは、次のフォーマットに対しハードウエア処理が可能です。
MPEG-2、H.264、MPEG-4、AVC、VC1のデコードをハードウェア処理。
MPEG-2、H.264、MPEG-4 AVCのエンコードをハードウェア処理。
Quick Sync Videoが利用できるのはHDグラフィックが有効時の時のみ。グラフィックカードを使用しているときは、意味をなしません。
以下、Sandy Bridge設計のCPUスペック表です。統合されているGPUのほとんどがHDグラフィックス2000です。(2011年5月時点)
2世代 Core i7 (デスクパソコン用)2世代のCore i7は、4コア実装のクアッドコア。HTテクノロジーで8スレッド動作。 |
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ファミリー | コア数とスレッド数 | クロック (TB最大時) |
3次 キャッシュ |
内蔵GPU (最大時) |
Core i7 2600K | 4コア/8スレッド | 3.4GHz (3.8GHz) |
8MB | HDグラフィックス 3000 (1,350MHz) |
Core i7 2600 | 4コア/8スレッド | 3.4GHz (3.8GHz) |
8MB | HDグラフィックス 2000 (1,350MHz) |
Core i7 2600s | 4コア/8スレッド | 2.8GHz (3.8GHz) |
8MB | HDグラフィックス 2000 (1,350MHz) |
2世代 Core i5 (デスクパソコン用)2世代のCore i5は、一部を除き4コア実装のクアッドコア。HTテクノロジー非搭載なのでコア数と同じスレッド動作。3次キャッシュ(LLC)は6MBです。ターボ・ブースト2.0(略:TB)搭載で、自動クロックアップします。 |
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Core i5 2500K | 4コア/4スレッド | 3.3GHz (3.7GHz) |
6MB | HDグラフィックス 3000 (1,100MHz) |
Core i5 2500 | 4コア/4スレッド | 3.3GHz (3.7GHz) |
6MB | HDグラフィックス 2000 (1,100MHz) |
Core i5 2500S | 4コア/4スレッド | 2.7GHz (3.7GHz) |
6MB | HDグラフィックス 2000 (1,100MHz) |
Core i5 2500T | 4コア/4スレッド | 2.3GHz (3.3GHz) |
6MB | HDグラフィックス 2000 (1,250MHz) |
Core i5 2400 | 4コア/4スレッド | 3.1GHz (3.4GHz) |
6MB | HDグラフィックス 2000 (1,100MHz) |
Core i5 2400S | 4コア/4スレッド | 2.5GHz (3.3GHz) |
6MB | HDグラフィックス 2000 (1,100MHz) |
Core i5 2390T | 2コア/4スレッド | 2.7GHz (3.5GHz) |
3MB | HDグラフィックス 2000 (1,100MHz) |
Core i5 2300 | 4コア/4スレッド | 2.8GHz (3.1GHz) |
6MB | HDグラフィックス 2000 (1,100MHz) |
2世代 Core i3 (デスクパソコン用)2世代のCore i3は、2コア実装のデュアルコア。HTテクノロジーで4スレッド動作。 |
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ファミリー | コア数とスレッド数 | クロック (TB最大時) |
3次 キャッシュ |
内蔵GPU (最大時) |
Core i3 2120 | 2コア/4スレッド | 3.3GHz (-GHz) |
3MB | HDグラフィックス 2000 (1,100MHz) |
Core i3 2100 | 2コア/4スレッド | 3.1GHz (-GHz) |
3MB | HDグラフィックス 2000 (1,100MHz) |
Core i3 2100T | 2コア/4スレッド | 2.5GHz (-GHz) |
3MB | HDグラフィックス 2000 (1,100MHz) |
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次は、HDG 2000でベンチマークテスト MHF第2弾【絆】/ストリートファイター4にて