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アルミボディの14インチ非光沢・広視野角ノート
Tiger Lake設計・DELL Inspiron 14(5402) レビュー
Tiger Lake-UP3設計の Inspiron 14(同ブランドで中位の5000シリーズ)をレビューする。(コンピューターモデル名: Inspiron 5402 / 規制モデル名: P130G)。便宜上、Inspiron 14(5402)と呼称する。レビュー機では第11世代 Core i7-1165G7 を搭載している。内蔵GPUとして、Iris Xe グラフィックスを統合している。
アルミボディの14インチ非光沢・広視野角ノート(解像度1920 × 1080)。3辺が狭額のフレームレスデザイン。バックライト・キーボードを搭載している。タッチパッドエリアのエッジにはダイアモンドカットの美しい加工。光学ドライブは非搭載。ディスプレイを開くと、キーボード面に勾配がつく機構(リフト・ヒンジ)。
14インチノートはサイズが据え置きとモバイルの中間なので、バッテリー駆動で家中どこでも自由に使うといった「ホーム・モバイル用途」に向く。幅: 322 mm × 奥行き: 217 mm × 高さ: 17~18mmのくさび形。 DELL公称の最小重量: 約1.4kgだが、レビュー実機の測量では1.365 kgだった。レビューはあくまで実機の一例であるため、選択により各々の構成は異なる。
2021年9月論評 Tiger Lake -UP3 |
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※2021年9月30日時点のレビュー。Inspiron 14(5402)の発売日は2020年10月13日である。
レビューした、Inspiron 14(5402)のスペック
今回、導入したInspiron 14(5402)の構成および、採用されていたベンダーは以下の通り。この手元にある実機に限った情報となる。ユーザーのカスタマイズ選択や、メーカーの仕様変更、時期的な事情により同一製品でも異なる。
また、複数の既存構成からのカスタマイズ販売という面から ” どこまでが標準搭載なのか ” こちらでは判断できない。実際の購入においては、「レビュー実機との差異」があることをご了承いただきたい。
第11世代 Core i7-1165G7 を搭載(Iris Xe グラフィックス統合)
このInspiron 14(5402)実機では、Tiger Lake-UP3設計の第11世代 Core i7-1165G7 を搭載。従来でいうUシリーズに相当する低消費電力版CPU。4コア実装、HTテクノロジーによって8スレッド動作、12MBキャッシュ、ターボブーストの最大4.7GHz。CPU内では、従来より強力になった内蔵GPUの「インテルIris Xe グラフィックス」を統合している。マニュアルの仕様をみると、「15W」とあるのでCore i7-1165G7のMAXである28Wより控えめに設定されているもよう。
Inspiron 14(5402)が採用しているアーキテクチャ解説 【 Tiger Lake 設計 】
レビューしている実機の、チップセット、ストレージ・メインメモリのスペック、およびベンダーの詳細。この手元にある実機に限った情報であり、構成・カスタマイズ選択、メーカーの仕様変更などで同一製品でも異なる。
メイン・メモリ
サムスン製のDDR4メモリ採用で4GBメモリを2枚搭載。メモリスロットは2基実装している。【基礎知識: メインメモリ(主記憶装置)とは 】
ストレージ ~ PCI Express接続で高速のNVMe SSD
ストレージに、ウエスタン・デジタル製のPC SN730を搭載している。(M.2スロットに512GB NVMe SSD搭載。フォームファクタはType 2280)。パフォーマンスはこの通りで、シーケンシャルリードでは3420MB/sという爆速。レビュー時点において、NVMe SSDのなかでも速い数値。一般的にSATA接続のSSDではシーケンシャルリードが大体500MB/sあたりだが、PCI Express接続のNVMe SSDとなるとその速度は圧倒的で桁違い。シーケンシャルライトも桁違いに速く2697MB/sだった。なお、ベンダーは供給時期により異なりSSDには個体差もあるので、あくまでこの実機に限った一例である。
ネットワーク・無線規格
レビュー実機で搭載しているネットワーク環境をチェック。無線LANにはQualcomm QCA61x4A(IEEE802.11ac対応)搭載。なお、Qualcomm QCA 61x4Aだと「Bluetooth5.0」の対応。なお、有線LANは搭載していないので無線環境が必須となる。
【ネットワーク基礎知識: 無線LAN規格について 】
【Bluetooth(ブルートゥース)~異なるメーカーの周辺機器をまとめて無線接続 】
インテリジェント機能~カバー・オープン・センサー搭載
ディスプレイを開くと、自動でPCが起動する「カバー・オープン・センサー」を搭載。リッド(蓋)センサーともいう。電源ボタンを押す手間が省けるが、デメリットとして清掃など「起動目的ではないとき」にも強制で起動する。ちなみに、ディスプレイはここまで開く。
ユーティリティ・ソフト
レビュー実機に搭載されていたマネージメント系のアプリ。左側のがWaves MaxxAudio Pro(ver.3.0.74.0) 、右側のがDell Power Manager(ver3.9)。おそらく標準装備と思われるが、バージョンは時期により更新されているようだ。
Waves MaxxAudio Pro ~サウンドチューニング
サウンドチューニングにWaves MaxxAudio Proを搭載。内蔵型で出力の弱い小型スピーカーでも、デジタル処理で効果的なサウンドを展開するサウンド補正技術。 ゲームサウンドでは良好な結果を残しているのだとか。項目は、イコライザー調整ができる「再生」、ヘッドフォンでのリスニング環境調節 「Waves Nx」、声の聞こえ方を向上させる「音声」の3つ。それぞれサンプル音楽を流してサウンドテストできる。
さらに詳しく 【 Waves MaxxAudio Proの解説 】
Dell Power Manager ~ 電源・温度の管理アプリ
電源プロファイル管理や、静音性(ファン速度)・温度・パフォーマンス(処理速度)のカスタマイズがここで行える。このシステムは、インテルDynamic Tuning Technology(インテル DTT)に基づいたチューニング機能である。バッテリー情報の「バッテリ設定」では、「バッテリーの長寿命を優先するか・・、寿命よりも急速充電」を優先するか・・・、そのバランスを取るか・・」という選択ができる。バッテリー残量0%から80%まで1時間で急速充電する機能「Express Charge」の設定もここで行える。
機能のカテゴリは以下の通り。なお、バッテリーの種類によっては、利用可能な設定が制限される場合があるとのことで、このInspiron 14(5402)実機ではピークシフト (バッテリおよびACの使用スケジュール~AC電源に切り替えるタイミング設定)が見当たらなかった。購入時期により、Dell Power Managerのバージョンが更新されている場合がある。
- バッテリー情報 (充電レベル・状況・正常性のモニタリング)
- 高度な充電 (バッテリ寿命の最適化~寿命を延ばす設定)
- サーマル管理 (システム温度およびファン設定~低温・静音・高パフォーマンス優先など)
- バッテリエクステンダ (バッテリ消費の最小化~CPU処理速度を低下、画面輝度など抑えるなど)
- アラート設定 (電源アダプター・バッテリー・温度に関するアラートをサポート)
さらに詳しく 【 DELL Power Manager(電源・温度の管理アプリ)のレポート 】
ベンチマークテスト結果
Inspiron 14(5402)で搭載したCore i7-1165G7では、CINEBENCH R15のスコアが609。他のPCでは663の例があるので、ややパワーセーブしている印象がある。
本格ゲームのベンチマークテストを実施。内蔵グラフィック仕様としては、従来から圧倒的にハイパフォーマンス化している。ラストレムナント~2009年 (1920 × 1080 フルスクリーン)では50.83 FPSだったので、1280×720なら快適に動作するレベル。かなり高負荷なFINAL FANTASY XVでは1280×720であってもさすがに実質的なプレイは厳しいが、一応動作はしている。排熱の構造によるものか、Core i7-1165G7搭載機で比較するとややパフォーマンスが抑えられている気がする。以下、ゲームタイトルのリンクをクリックすると、当方過去のレビューPCと比較できる。
2021年9月論評 Tiger Lake |
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ラストレムナント~2009年 (1920 × 1080 フルスクリーン) |
50.83 | |
FINAL FANTASY XV・ベンチマークテスト 1280×720 (1280×720 軽量品質 フルスクリーン) |
2956 |
実機のディスプレイおよび液晶パネル: BOE082E
3辺が狭額でスタイリッシュなフレームレス・デザイン。14インチ 非光沢 ディスプレイ・広視野角(解像度 1920 × 1080)。DELLの初期設定および推奨設定では150%拡大になっているが、掲載写真では拡大なしのドットバイドット表示(100%)に設定し直している。ディスプレイの見え方に関しては、視力や好みの違いにより意見が分かれるが、ドットバイドット表示(100%)で十分実用的と思われる。
液晶パネルにBOEテクノロジー製の【BOE082E】を採用。このパネルを検索したところ「Panel Type: IPS」と判明。BOEは過去にハイニックスの液晶ディスプレイ部門を買収しており、世界大手の液晶パネルメーカーである。
IPSパネルなので広視野角。DELLではWVA(ワイド・ビューイング・アングル)というワードをよく使っているが、直訳の通り、単に「広視野角」を指しているだけ。さらに絞り込んだ液晶パネルの種類(駆動方式)までは触れていない。駆動方式まで公表している例はごく稀である。非光沢画面だが、やや半光沢に近い。テラス並みに明るいとやや陰ができるが、通常の環境では問題ない。
Webカメラと、左右に配置されたデュアル・マイク。
最も狭額な左右ディスプレイベゼルでは、約5mmくらい。
装備するインターフェース
右側面では、microSDカードスロット(SD、SDHC、SDXC)、USB3.2-Gen1端子、ヘッドセット端子を配置。microSDカードスロットではサイズが限定されてしまい、ちと使いづらい。
左側面では、電源コネクタ(45WのACアダプタ付属)、電源ライト、HDMI端子、USB 3.2-Gen1端子、USB Type-C端子を配置。
USB Type-C端子の対応
USB Type-C端子が対応するインターフェースは、厄介なことにPC製品によって様々である。何に対応しているのか知る必要がある。クイックスタートガイドによれば、対応するのは「USB3.2-Gen1 、Display Port 、Power Delivery」とのこと。あれ???備考欄ではUSB 3.2-Gen2(10Gbps)になってる。Gen1、Gen2、どっちなんでしょうか?
USB 3.2への改称について
2017年に「USB 3.2」が発表された。これまでのUSB 3.0 および USB 3.1は伝送路が「1レーン」であるが、これを「2レーン」に束ねることで高速化した。ただ非常に面倒くさい事に、従来(1レーン)のUSB 3.0、USB 3.1を取り込む形で改称がされ、すべて名称は「USB 3.2」で統一された。つまり、「1レーンのUSB 3.2」と、「2レーンのUSB 3.2」があり、以下の4パターンあると理解すればいい。現在では1レーンがメインなので、ややこしくなったら旧称に置き換えるとよい。
- USB 3.2 - Gen1 (1レーン・5Gbps) = 旧称 : USB 3.0 / USB 3.1-Gen1
- USB 3.2 - Gen2 (1レーン・10Gbps) = 旧称 : USB 3.1-Gen2
- USB 3.2 - Gen 1x2 (2レーンの 10Gbps) ※コネクタ形状はUSB Type-Cのみ
- USB 3.2 - Gen 2x2 (2レーンで20Gbps) ※コネクタ形状はUSB Type-Cのみ
Power Delivery
Power Delivery(USB PD)とは「USB電力拡張規格」のこと。大きなメリットとして、容量さえクリアできれば市販のPower Delivery対応ACアダプターを使うことができる(これでメーカー専用ACアダプタの縛りから解放される)。また規格としては、ホスト側から電力を得て、数珠つなぎ式で次々に対応周辺機器へ電源供給ができる。
【 さらに詳しく解説 ~ Power Delivery とは 】インターフェースの基礎知識
- 周辺機器とつなぐ端子の知識 : 接続端子(シリアルバス規格)の解説
- ディスプレイと接続する端子の知識 : ディスプレイ端子の解説
メタルボディ・デザイン
前面のデザイン。当方の見立てでは、天板とパームレストがアルミ素材と判断した。この実機を測量したところ、1.368Kgだった。14インチノートなので、ホームモバイル用が最適であろう。
背面では多面体のソフト・プラスチックを配置。
ディスプレイを開くと、キーボード面に勾配がつく機構(リフト・ヒンジ)。チルトスタンドの効果があり、傾斜面になったキーボードで打ちやすくなる。さらに底面側に空間が生まれるので、吸気スペースも拡張されるというもの。「ラバー ドロップ ヒンジ」ともいう。
排気口はディスプレイの開閉機構の隙間にあり、理想的とは言えない。ただ低消費電力系のPCであるから問題ないのだろう。ディスプレイを大きく開いたほうが、エアーフローとしては効率的。
横からみたデザイン。Aコネクタ(標準サイズ)のUSB端子を搭載した場合の、最大級の薄さではなかろうか。光学ドライブは搭載していない。
底面カバーの材質は工業プラスチックだった。中央にエンボスのinspironロゴを配置。横に広がるスリットは吸気口。
底面の左右にスピーカー孔を配置しており、よほどの拘りがない限りは、十分なサウンドクオリティと思われる。
内側に潜り込むようなヒンジの構造。
アルミ・パームレストと、タッチパッド
アルミ素材のパームレスト部分。
エッジはやや面が丸くなっている。。
タッチパッドは結構広め。周囲にはダイアモンドカットが施され、金属の光沢がアクセントになっている。
キーボード
Inspiron 14(5402)のキーボード、右側。
一部のキー(BackSpace、¥、Enter、shiftなど)はその横のキーと隣接させつつ、キートップの段差で隔離している加工がされている。これはユーザービリティのためではなく、単なるコストダウン加工と思われる。プレートの穴開けが英字キーボードと一致していることから、加工をグローバルで共通化させてコストダウンを図っているようだ。 BackSpaceと¥のキーが小さいのでやや扱いづらいのがデメリット。 カーソルキーは小さい上に段差配置になっておらず、Page up/downと並列になっているため、特に上のカーソルキーは操作しづらい。
キーボード左側。シルバーカラーなので、黒のキーボードより文字の視認性が悪い。
指紋認証機能付きの電源ボタン。マニュアルによればオプション搭載とのこと。
バックライト・キーボード機能を搭載している。(F5を繰り返し押すことで、ライトのオンオフおよび、2段階の調光可能)。薄暗い会議室や、寝室などとっさの使用でも室内照明を点けずに操作することができ、わりと重宝する機能である。機能がオンのときは、キーに触れると自動的に点灯する。しばらく操作をしないと自然に消灯する。地の色がシルバーなので、中途半端に明るいとむしろバックライトが文字を掠めて見づらくなる。その場合は、オフにしておいたほうがよい。
このInspiron 14(5402)のキーボードはDELLの他モデルでも流用されている汎用的なキーボードであり、Inspiron 13-7000(7300)やInspiron 13 5000(5390)などと同じ。キーボード単体での使用感は別ページにてまとめて紹介している。他製品での搭載例になるが、詳しく知りたい方は以下のリンク先を参考に。
この型のキーボード、単体パーツレビュー
備考:このキーボードのバリエーション
- 同型 ブラック (バックライト機能付き) ※被写体: Inspiron 14-5490
- 同型 グレー (バックライト機能付き) ※被写体: Inspiron 13 7000 2-in-1 (7391)
- 同型 グレー (バックライト機能無し) ※被写体: Latitude 3301
Inspiron 14(5402)の内部構造
換装のための内部アクセスは、底面ボディをごっそり取り外す構造なのでややハードルが高い。 大半が黒いPETフィルムで覆われ、パーツが保護されている。※PETフィルムとは : ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いたコシのある高分子フィルムで、耐熱性があり、酸素や湿気に対するバリア性を持つ。
シングルファンを搭載する構造。デュアルファンを内蔵するXPS 13シリーズと比べると、冷却機能は貧弱な印象を受ける。パワーセーブでもするのだろうか。
ファンの様子。その下にはM.2スロット・Type 2280のNVMe SSDを搭載。
M.2スロットのところをみると、PCI Express(NVMe SSD)だけでなく、SATA SSDにも対応しているようだ。Optaneメモリには対応していないと書いている。そもそもInspiron 14(5402)ではHDDが搭載できないし、ストレージはこのM.2スロットしか搭載できないので、Optaneメモリ未対応なんて不毛な話。
PETフィルムをめくると、メモリスロットが2基実装されている。
NVMe SSD(M.2スロット)の右隣には無線LANカードの搭載。
この実機では3セル-40Whのバッテリーを搭載。
バッテリーの左右に配置されているスピーカー・コーン。
最新情報など、詳しくはDELLサイトへ
Inspiron 14(5402)のレビューは以上。ここで紹介した実機は一例の構成であり、ユーザーの選択や販売時期により異なる。紹介した内容がすべて標準搭載というものではなく、購入の際はオプション搭載があることを留意していただきたい。
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※DELLは、「顧客満足度調査 2019-2021年 デスクトップPC部門3年連続1位」 ※出典-日経コンピュータ 2020年9月3日号より
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