≫HP Pavilion Desktop PC s5250jpをレビュー
インテルのクアッドコア、Core i7 / i5が搭載できるスリム型デスクトップパソコン「s5250jp」。
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s5250jpの搭載するCore i7、Core i5とは
s5250jpは、Core i7(800シリーズ)およびCore i5が搭載可能です。これらのCPUはNehalemマイクロアーキテクチャと呼ばれる新規格の構造で、Core 2 DuoやCore 2 Quadとは大きく違います。では、その違いを説明していきます。
興味のない方にはちょっと面倒くさい内容になりますので、製品レビューだけでいい方は、読み飛ばしてください。
CPUの基本設計 | CPUソケット | ブランド |
Coreマイクロアーキテクチャ (2006年~2011年?) |
LGA775 | Core 2 Duo、 Core 2 Quad、 Pentium デュアルコアなど |
Nehalemマイクロアーキテクチャ (2008年11月登場~) |
LGA1366 | Core i7-900シリーズ |
Nehalemマイクロアーキテクチャ (2009年9月登場~) |
LGA1156 | Core i7-800シリーズ Core i7-700シリーズ |
Nehalemマイクロアーキテクチャ | |||||
ブランド | Core i7 | Core i5 | |||
プロセッサー・ナンバー | 950 | 920 | 870 | 860 | 750 |
定格 動作周波数 |
3.06GHz | 2.66GHz | 2.93GHz | 2.8GHz | 2.66GHz |
最大 動作周波数 |
3.33GHz | 2.93GHz | 3.60GHz | 3.46GHz | 3.20GHz |
3次キャッシュ メモリ |
8MB |
||||
実装コア数 | 4コア |
||||
HTテクノロジー | HTテクノロジーで8スレッド(擬似8コア) |
なし |
|||
ターボ・ブースト | あり |
||||
メモリ | トリプル・チャンネル |
デュアルチャンネル |
|||
TDP | 130W |
95W |
|||
CPUソケット | LGA1366 |
LGA1156 |
Core i7(800シリーズ)とCore i5の違い
s5250jpは、Core i7(800シリーズ)とCore i5のどちらも搭載できますが、この2つの違いはHTテクノロジーの有無です。どちらも物理的には4コアですが、Core i7(800シリーズ)なら8スレッド動作が可能です。Core i5はコア数と同じ4スレッド動作になります。
以下、Core i7-800シリーズの説明をしていきますが、Core i5(-750)の導入を考えている方は「HTテクノロジーがない」ということを念頭にして、合わせてお読みください。HTテクノロジー以外は共通内容です。
ちなみに、Core i7(900シリーズ)は搭載できない
同じNehalemマイクロアーキテクチャでも、Core i7(900シリーズ)は互換性がないため搭載できません。Core i7(900シリーズ)は最初のCore i7シリーズです。一応、900シリーズは旧式とはいえ上位ポジションなので、トリプル・チャンネルに対応しています。なお、800シリーズはデュアルチャンネルまでです。
(※トリプルチャンネルとはメモリを3枚同時使用して、高速化する技術。)
Core i7-800シリーズのほうが、900シリーズよりも内部構造に優れる
Core i7(800シリーズ)は、900シリーズよりも内部構造が改善されており、グラフィックス・インターフェースの内蔵やターボ・ブーストの強化が見られます。個人的には800シリーズのほうがお得だと思います。
真の、4コアCPU(ネイティブ・クアッドコア)
Core i7-800シリーズはCore 2 Quadの後継であるクアッドコアで、4つのコアを持ちます。Core 2 Quadでは2つに分断されていたコアですが、Core i7-800シリーズはひとまとめです。いわゆるネイティブ・クアッドコアです。さらに、4コアが共有する3次キャッシュメモリが内蔵されました。
なお、前クアッドコアのCore 2 Quadは、コアが分断されているので具体的に言うとデュアルコアが2つです。通称、「なんちゃってクアッドコア」。
Core i7-800シリーズは、HT テクノロジーで8スレッド
Core i7-800シリーズは4コアでも、HTテクノロジーのおかげでOSからは8コアと認識されます。HTテクノロジーは命令の流れを2系統にすることで、待機状態の演算機構を極力減らし、1コアに対し2スレッド処理させる技術です。
なお、HTテクノロジー非搭載のCore i5-700シリーズは、4スレッドのままです。
ターボ・ブースト・テクノロジ搭載!
Core i7-800シリーズは、ターボ・ブースト・テクノロジーを搭載しています。ターボ・ブースト・テクノロジーは、動作周波数を必要に応じて上げて高速処理を可能にします。使わないコアは電源をオフにして発熱を抑えます。マルチコアに最適されていないソフトの処理を速くする技術です。
音楽管理ソフトなどはマルチコアに対応していないものが多く、その場合は単に動作周波数の高いCPUのほうが速いです。まだ、マルチコアに対応するソフトは少ないので、重宝される技術です。
ターボ・ブーストを内蔵していない旧CPUを例に挙げると、動作周波数の高いCore 2 DuoがCore 2 Quadに勝るケースがあります。こういったマルチスレッド非対応ソフトでは下位CPUが上位CPUに勝ってしまうケースがあったのです。
ですから、Core i7ならターボ・ブースト・テクノロジーのおかげでマルチスレッド非対応ソフトも高速処理が可能です。
さらに、もう少し細かく解説しておきましょう。
クアッドコアを例にターボ・ブースト・テクノロジーを解説します。Core i7やCore i5には、コアごとに電源供給を絶つスイッチがあります。(パワーゲートという。)ターボ・ブースト・テクノロジーではこれを活用します。 |
2コア、クロックアップ! いわば自動オーバークロックですが、この向上は定格仕様なので、本来のリスクを伴うオーバークロックとは意味が違います。 |
1点集中!クロックアップ! 使わないコアの電源をオフにしているため発熱が減り、その分、使っているコアに倍率を上げられます。 |
全コア、クロックアップもあり 4コアすべて使っていても、余裕があれば全コアがクロックアップする場合もあります。 |
さらに、Core i7-800は後発なだけあって、Core i7-900シリーズよりもターボ・ブースト・テクノロジーが強化されています。
Core i7-900シリーズでは最大2段階までのクロックアップですが、Core i7-860、870では最大5段階まで可能です。Core i5-750では最大4段階まで。
Core i7-870 | Core i7-860 | ||||||
コア1 | コア2 | コア3 | コア4 | コア1 | コア2 | コア3 | コア4 |
5 | 4 | 2 | 2 | 5 | 4 | 1 | 1 |
Core i5-750 | Core i7-950 | ||||||
コア1 | コア2 | コア3 | コア4 | コア1 | コア2 | コア3 | コア4 |
4 | 4 | 1 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 |
細かい話をすれば、ターボ・ブーストによる段階アップは各コアごとに異なっており、上記のようになっています。900シリーズは先発なだけあって、段階が少なめです。
なお、コアがすべてが同時に最大になることはありません。
こちらは、Core i7-870のクロックアップの例です。このとき、アイドル値(待機状態)は1.2GHzほどだったのに、ターボ・ブースト・テクノロジーによって3.4GHzまでクロックアップ!マルチコアに対応されていないソフトでは、クロック数(動作周波数)の高さがものをいうので、かなり便利な技術です。
ブランド | Core i7 | Core i5 | |||
プロセッサー・ナンバー | 950 | 920 | 870 | 860 | 750 |
定格 動作周波数 |
3.06GHz | 2.66GHz | 2.93GHz | 2.8GHz | 2.66GHz |
最大 動作周波数 |
3.33GHz | 2.93GHz | 3.60GHz | 3.46GHz | 3.20GHz |
内部構造が改善
Core i7-800シリーズの大きな内部変化は、メモリコントローラーとグラフィックス・インターフェースの内蔵です。CPU自体がメモリとグラフィックカードに直接アクセスできるようになり、高速化されています。パーツ管理するチップセットも1つでシンプル設計。
1世代であるCore i7-900シリーズは、メモリコントローラーを内蔵していますが、グラフィックス・インターフェースを内蔵していません。そのため、チップセットは2つ存在します。
Core 2 Quadでは、CPU自体にメモリコントローラーもグラフィックス・インターフェースも内蔵していません。すべてチップセット経由になり、タイムロスを生じます。
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出典-日経コンピュータ 2019年8月22日号 顧客満足度調査より