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足利義康(源姓足利氏・初代)の館跡
足利氏館(鑁阿寺)
栃木県足利市家富町の足利氏館跡(現在の鑁阿寺)を訪問した。訪問日:2022年8月。足利氏館は南に渡良瀬川、北西東の三方には山が囲んでおり、防御に適した立地にある。足利荘に籠もった源義国と、その子である足利義康(源姓足利氏・初代)が二代にわたって堀と土塁を築き足利氏館(のちの鑁阿寺)邸宅とした。12世紀半ばである。
そして足利義康の3男である足利義兼に引き継がれる。義兼は八幡太郎こと源義家のひ孫(義家-義国-義康-義兼)で血統の良さもあり源頼朝の有力御家人となり、平家追討や奥州征伐で功績をあげた。
鎌倉時代初期、義兼は邸宅である足利氏館に大日如来を奉納した持仏堂(のちの大御堂)を建立し邸宅を撤去する。これが鑁阿寺の起源となった。鑁阿(ばんな)とは義兼の戒名。義兼の子、足利義氏によって伽藍が整備され、鑁阿寺は足利氏の氏寺となった。室町幕府が開かれると手厚い保護を受け、鶴岡八幡宮の管轄となっていた。これが当時の面影が現在にも保たれた一因と思われる。1592年には小弓公方・足利義明の孫である足利国朝によって再修復されている。
鑁阿寺伽藍図
平地に築かれた足利氏館の規模は東西200m、南北175mほどのやや台形。周りには土塁と堀がめぐっており、この単濠・単郭・方形館の様相は後世の手が加わること無く、平安末期から鎌倉初期の地方豪族の住まいを色濃く残している。鑁阿寺が所蔵する絵図(元和年間1615-1624年ごろ)によれば、東西南北に門や橋が配置され現在の配置と近い。鑁阿寺南方の大日大門通り、約200mほどはかつての官道(東山道)と考えられている。同じく南方には足利学校が接している。
境内地が「足利邸宅跡」として、大正11年に国指定史跡に指定された。
南に位置する太鼓橋と山門(仁王門)。
太鼓橋から見る南の堀と土塁。太鼓橋は江戸時代の建物。
山門(仁王門)は室町時代の建物。
本堂(大御堂)は鎌倉時代の建物。
中御堂(不動堂)には成田山から勧請された不動明王が祀られている。本堂と不動堂はかつて廊下でつながっていた。
不動堂の右側にある古井戸は足利氏が居住していた時に使用されたものと伝わっている。(足利氏館時代)
御霊屋は江戸時代の再建。
北側の土塁。
南側の土塁。
足利学校
鑁阿寺(足利氏館)の南に位置する足利学校。平安時代初期の創設とされるが諸説ある。室町前期には衰退していたが上杉憲実が再興する。戦国時代には易学、兵学、医学を学ぶものが多く、学校出身者は戦国武将に仕えることがしばしばあったという。室町から戦国時代にかけては関東における最高学府とされる。1871年から翌年にかけ廃校、跡地は小学校に転用、また足利学校遺蹟図書館(公共図書館)が設立された。
1921年、敷地や孔子廟・学校門などの建物は国史跡に指定される。1980年代、小学校の移転、遺蹟図書館の移管が行われた。1990年に建物と庭園が復元され、江戸時代中期の様子が再現されている。
足利義氏 墓所(法楽寺)
足利義氏(足利氏3代目)が1249年に開基したとされる、正義山 法楽寺。義氏が夢の中でお告げを聴き、池から阿弥陀如来像を引き上げた。これを本尊として法楽寺を創建したと伝わっている。1983年に銀閣寺を模した新たな本堂が建てられた。
足利義氏 墓所。晩年の義氏はこの地に隠棲して余生を過ごした。その当時、門前には広大な阿弥陀池があったという。ちなみに、子孫の古河公方に同名の「足利義氏」が存在する。
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