3TB以上のHDDを使う~2.2TBまでの壁問題
2012年には3TB HDDの割高感が解消され、お買い得感が増しました。しかし、32bitの制約によって「OSが認識するのは2.2TBまで」という壁問題があります。ここでは2.2TBを超える容量を使うための条件を解説します。
2.2TBを超えるための条件
2.2TB以上が認識できない要因は、MBR(マスターブート レコード)やコマンド情報の32bit制約が挙げられます。2.2TBを超えるためにはGPT(GUIDパーティションテーブル)での初期化が必要です。さらに起動ドライブにするなら、Windows Vista以降の64bit版OSとUEFI対応のマザーボードが必要です。
GPT(GUIDパーティションテーブル)で初期化
3TB以上のHDDを起動ドライブにする、またはデータ用であっても2.2TB超を認識させるならGPT(GUIDパーティションテーブル)での初期化が必要です。GPTはWindows Vista以降で標準対応しています。
パーティションスタイルですが、2TBを超えないHDDにはMBR(マスターブート レコード)でのフォーマットが推奨されています。3TB以上のHDDで2.2TB超を認識させるならGPTフォーマットになりますが、GPTフォーマットではWindows 2000やXPが読み書きを行えません。なお、MBRで初期化したHDDでも、データは消えますがGPTへの変換は可能。
起動ドライブにするなら、UEFI対応のマザーボードと64bit OS
3TB以上のHDDを1パーティションで起動ドライブにするなら、UEFIブート対応のマザーボードとOSが必要。OSインストーラーをUEFIモードでブートしてインストールした場合には、自動的にGPTで初期化されている。
UEFI とは、新しい基本プログラム
UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)は、これまでのBIOSから置き換わるシステム。BIOS同様、OSよりも先に起動し、デバイスを初期化する基本プログラムであり、Windows 8はこのUEFIに最適化されている。BIOSよりもプログラミングの自由度が高い。古くからの制約から開放され、グラフィカルなセットアップ画面などが見られる。OSをUEFIネイティブモードにすれば、2.2TB以上のストレージからの起動ができるなど、メリットが得られます。 ※UEFIモード、GPTフォーマットで起動できるOSはWinows Vista以降の64bit版のみ。
2.2TB超え認識するための対応状況
32bitOSはGPTドライブから起動するための「UEFIブート」に対応できないので、起動用には使えません(XPは64bitでもダメです)。 当然、UEFI非対応のマザーボードでも起動用には使えません。 ※3TBを1パーティションで使う場合。これらの条件を満たしていてもRAID環境にするなら、RAID機能の対応状況も要チェックです。OS | マザーボード の対応 |
OS起動用 (1パーティション) |
データ用 | |
Windows7 | 64bit | UEFI対応 | GPTパーティションでOK | GPT初期化でOK |
UEFI非対応 | × | GPT初期化でOK | ||
32bit | 不問 | × | GPT初期化でOK | |
Vista | 64bit | UEFI対応 | GPTパーティションでOK ただしVista SP1以降 |
GPT初期化でOK |
UEFI非対応 | × | GPT初期化でOK | ||
32bit | 不問 | × | GPT初期化でOK | |
XP | 64bit | 不問 | × | GPT初期化でOK |
32bit | 不問 | × | ×(基本的にはNG) マザボード・メーカなどが提供するユーティリティソフトで使用可能な場合もある。 |
なぜ、MBRフォーマットでは2TB以上を認識できないのか?
32bit管理であるMBRフォーマットは「2の32乗」個までのアドレス管理となる。つまり「2の32乗」個とは、42億9496万7296個であり、これが扱えるセクタ数となる。一般的なHDDは1セクタが512Byteの容量なので、「512Byte × 42億9496万7296」で2TBまでの管理しかできない。
※Big SectorというHDDなら「1セクタが4KB」なので、これならMBRフォーマットでも16TBまでの管理が可能である。(Big Sectorの場合は、ネイティブ対応でなくてはならず、エミュレートではOSが512Byteで扱ってしまうのでNG。)
磁気ディスク(プラッタ)は、セクタと呼ばれるブロックの記録領域で区画されている。
一方、GPTフォーマットは64bit管理であり、扱えるセクタ数は1844京6744兆~となる。一般的なHDDは1セクタが512Byteの容量なので、「512Byte × 1844京6744兆~」で約8ZBまでの管理ができる。これは約85億TBという容量である。ちなみにこれは8.5ZBという見慣れない単位になる。
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