武田信玄の火葬塚（魔縁塚）と、河尻塚

武田神社（武田信玄の居館跡・躑躅ヶ崎館）の近くに武田信玄の墓所がある。信玄は京都上洛を目指し、徳川家の野田城攻めを最後に持病が悪化。1573年、信州伊那駒場にて53歳で生涯を閉じる。信玄が死の間際に遺言を残し、「3年間は自分の死を隠すように」と命じたため、武田家家臣・土屋氏の邸跡であったこの地で仮埋葬されたという。

武田信玄の墓所、仮埋葬ここで火葬されたことから、信玄の火葬塚とも呼ばれている。菩提寺である恵林寺に埋葬されるまで、この地に仮埋葬されてその死を伏せていたという。なお、「魔縁塚」と呼ばれ町民から恐れられた時期があったそうだ。武田家を滅ぼした織田信長が流布させた情報なのか、喪を3年間秘めるため、町民が近寄らないように武田家臣がそうさせたのか・・。

魔縁塚-火葬塚安永8年(1779年) に甲府代官・中井清太夫が、町民から恐れられていた「魔縁塚」を発掘して石棺を掘りだす。幕府に届けを出し、石棺に刻まれていた法名から信玄の墓と定めた。この時、武田家の旧臣子孫らが墓碑を建てた。現在は円光院の住職が供養しているらしい。

ほかに信玄の墓は、山梨県では大泉寺、恵林寺、長野県では諏訪湖、長岳寺、竜雲寺、和歌山県では高野山、愛知県では福田寺、京都では妙心寺など全国に存在する。

河尻塚（さかさ塚）

信玄の火葬塚から道路を挟んで反対側。ゲートボール場の先、フェンスで囲われた地に河尻塚がある。織田信長家臣・河尻秀隆の首塚とも屋敷跡とも伝わる。かなりマニアックな史跡スポットだ。

河尻塚（さかさ塚）画像織田信長の甲州征伐（1582年）では、河尻秀隆は軍目付けとして活躍し、武田家が滅んだ後は甲斐と信濃諏訪の領主となった。信長の権力を利用し威圧的な政治を行ったという。本能寺の変のあと、武田家の旧臣と農民の一揆勢より攻撃を受け、殺害された。河尻秀隆は圧政のお恨みを買っており、この地に逆さまに埋められた。このことより、河尻塚は「さかさ塚」の異名を持つ。