デルパソコンか、自作パソコンか
当サイトをご覧になっている方のなかには、まだデルパソコンにするか悩んでいる人もいることでしょう。ソニーやNECなど大手日本メーカーではなく、デルのような自由なカスタマイズができるBTOメーカー(受注生産のメーカー)を考慮に入れているなら、少なかれ自作パソコンも考えているかもしれません。
デルパソコンも、自作パソコンほどではありませんが、購入後ある程度のパーツ交換でちょっとした自作体験ができます。手軽に出来ることから、自作経験者がデルパソコンをベースに独自でパーツ交換して使うケースがあります。
もちろん、そんなことしたらデルの保証対象外になりますが、保証期間が切れて、どうせ有償修理になるくらいならパーツ交換に挑戦してみるのもいいでしょう。
完全な自作パソコンなら初めからパソコン自体の保証なんてありませんし、PCケースやOS、電源ユニットなど細かくそろえていったら、デルパソコンよりコストが高くなります。
最終的には自作ユーザーになるにしても、パソコン知識を身に着ける研究素材としてデルパソコンを購入する方法もあります。
デルパソコンと自作パソコンの決定的違いは何かといえば、デルパソコンには一部、独自設計があります。マザーボードの形状、CPUクーラー、電源ユニットが自作パーツと交換できない傾向にあります。ですから、デルパソコンを新しいPCケースに移植したり、オリジナルより高い消費電力に耐えうるパソコンにはできません。そして、オリジナルに付いていたCPUより高い消費電力のCPUは、熱暴走の可能性があります。
一概にすべてのデルパソコンとは言いませんが、パソ兄さんが見てきたデル製品はそうでした。とにかく、パーツ交換するにはパーツの知識が必須です。
パソコンは家電製品と違って、どこのメーカーも自作も同じ規格です。ただ、メーカー製は一部のパーツに形状の独自性を持っており、取り付けの問題で自作ほど自由にはいかないということです。
では、自作パソコンのパーツ選択の行程を交えて、デルパソコンと比較してみましょう。
自作パソコンの作り方解説ではないので、組み立て方やパーツ規格の解説は省略します。ちなみにパーツ規格の知識は、カスタマイズ・ナビで紹介しています。
自作パソコンはマザーボード選びから始まる
自作パソコンは、まずパソコンの基板となるマザーボード選びから始まります。
マザーボード選びの要は、マザーボードに搭載されているチップセット選びです。
チップセットはCPUやグラフィックチップ(GPU)などの管理をするパーツで、このチップセットによって搭載できるパーツが決定されます。
ですから、最新パーツが値下がりしてパーツ交換しようと思うなら、チップセットが対応していること、つまりはこのマザーボードが対応していることを確認します。
チップセットが対応していても、マザーボードが対応していない場合があります。例えば、チップセットがDDR2とDDR3規格のメモリに対応していても、この2規格は挿し込み形状が異なるので、マザーボードがどちらに対応しているかに左右されます。
つまり、後々に追加カスタマイズするにしても、このチップセットとマザーボードがサポートする範囲になるので、将来的な方向性もプランニングする必要があります。
よく自作パソコンは「カスタマイズで長持ちさせることができる」といいますが、チップセットとマザーボードが対応する範囲までです。実はパソコンメーカーのパソコンと大して変わりません。
チップセット自体は交換できないので、マザーボード自体の交換になります。しかし数年でマザーボードに搭載するパーツが新規格になっていることも多く、結局、PCケース以外は総入れ替えするはめになります。つまりは、パソコンメーカーのパソコンを買い換えるのと同じことです。
あとは、チップセットにオンボード・グラフィック機能があるかないかを確認。
コストダウンするためグラフィックカードを搭載しないなら、オンボード・グラフィックが必須です。また、デスクトップのグラフィックカードは着脱式なので、オンボード・グラフィックがあれば、後から搭載することも可能です。
オンボード・グラフィックは年々、高性能化しているので、どんなグラフィックコアなのかを知ることも大切です。ただし、同世代であれば、オンボード・グラフィックがグラフィックカードの性能を上回ることはありません。
マザーボードの規格を確認
マザーボードにはミドルタワー用のATXやミニタワー用のMicro ATXなどの規格があります。簡単にいえばサイズですね。PCIのスロット数など拡張性を重視するか、数を減らしてでも小サイズ化にするかの選択です。
マザーボードのスロット数を確認することで、将来どれだけ拡張できるか考慮しておきます。
バックパネルの確認
パソコンの裏面端子を確認します。いわゆる標準装備の端子。
拡張カードで端子を増やせますが、あらかじめ必須な端子があると便利です。
デルパソコンではどうなのか
デルパソコンではマザーボードの選択はできませんし、購入してみないとマザーボードを見る事ができません。これはどこのパソコンメーカーも同じです。
「製品仕様=マザーボード仕様」といったところでしょう。
デルの製品仕様を見れば、チップセットが分かりますし、標準装備の端子や拡張カードのスロット数も分かります。チップセットさえ分かれば、そのパソコンの潜在能力が分かったようなものです。あとは、デルがカスタマイズでどこまでサポートするかですね。
希望のパーツをサポートしていなかったら、購入後、自分でパーツ交換をする方法もありますが、保証対象外になることを忘れずに!
ただし、コンデンサの種類やメーカーなどマニアックなところまではチェックできません。自作ユーザーはパソコン自体の動作保証がないので、細かいところまでシビアでしょうが、デルパソコンで買えばどこに支障があろうとも保証が効くので、そこまで確認する必要はありません。
なお、デルのマザーボードはATXやMicro ATXといった互換性のある形状ではないので、固定ネジ位置が異なるなどが見られます。自作用のPCケースへ移行するのは、ほぼ不可能です。
デルパソコンのマザーボード一例
デルInspiron 530sの内部です。マザーボードを見ると一見、Micro ATXのように見えますが、固定するネジ位置が独特で、市販のPCケースに取り付けることはできません。
すべてのデルパソコンを見たわけではありませんが、PCケース交換はできないものだと理解したほうがよさそうです。
ちなみにこのデルパソコンでは、Foxconn(フォックスコン)製。
FoxconnはデルやHP、アップルコンピュータなどのマザーボードを生産していることで知られています。電子機器の受託生産では世界最大の企業です。ソニーや任天堂のゲーム機の基板も生産しているとの噂を聞いたことがあります。
結局、どこのパソコンメーカーも、メーカーというよりただの「組み立て屋」みたいなものですね。パソコンの要であるCPUはほとんどインテルとAMDですし、チップセットはインテル、AMD、NVIDIAがほとんど。新規格はこれらのメーカーによって生み出されています。
光学ドライブやハードディスク、メモリも専門メーカーが製造していますし、マザーボードや電源ユニットは受託生産で専門メーカーが製造しています。
ちなみに、自作用のインテル純正マザーボード。いたる所に、Foxconnのロゴが見られる。
■デルパソコンか、自作パソコンか
■デルパソコンか、自作パソコンか/CPU編
■デルパソコンか、自作パソコンか/PCケース偏
■デルパソコンか、自作パソコンか/電源ユニット偏
■デルパソコンか、自作パソコンか/グラフィックカード偏
■デルパソコンか、自作パソコンか/ドライブ・メモリ偏
■デルパソコンか、自作パソコンか/OS編
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