方八丁館（南ノ原口）
須賀川城の南からの進入口、南ノ原口は高久田境・メガステージ須賀川あたりとされる。
1589年の須賀川合戦（伊達政宗との合戦）では、南ノ原口の出城である方八丁館に二階堂勢として佐竹勢200人、岩城勢300人が布陣していた。主に援軍部隊で守備されたようだ。
八幡山（八幡崎城）の現地説明では「佐竹の援軍が加わった」とあるので、南ノ原口に敵は攻めこなかったのだろう。方八丁館から八幡山へ加勢し駆けつけたようだ。ちなみにこの配置図※には、佐竹勢の人物に「茂武左馬助」と記載されているが、これは宇都宮氏一族の武茂（むも）氏と思われる。
※藤葉栄衰記（野川本）・奥陽仙道表鑑より。
方八丁の位置
日本城郭大系によれば、「鏡田館ノ内、蒲ノ沢、一里塚、高久田境」の一帯が、「方八丁」と呼ばれているそうだ。方八丁という地名の起こりは古代遺跡とされるが詳細不明である。佐竹勢が陣を置いた場所は「山館」とその西部の「館ノ内」で、水田に堀跡があるという。幅20m、長さ100mの空堀があると記載されているが、昔の地名から場所が特定できないので遺跡は確認できていない。
麓に民家が建つ雑木林が方八丁館の跡地という。衛星写真を観ると東北本線により館跡は分断され、西側はかなり破壊され、最西端と思われる一里塚のあたりだけ土塁のような遺構が残っている雰囲気。
私有地なので藪の探索はできないが、遺構はあるのだろうか？
奥の森は一里塚に隣接しているが、城館跡らしき雰囲気。
一里塚の通りでは土塁や堀切跡にみえる。そして旧陸羽街道という要衝地である。江戸時代に整備されたのであろうが、遺構の一部をそのまま活用していたように思える。ゆえに方八丁館の最西端とみてようさそうだ。
方八丁館の南端。西側の半分は東北本線を皮切りに削られている（雰囲気）。
方八丁館は傾斜面に配置されており、少し上れば須賀川城の縄張りを南側から一望できたと思われる。現在では須賀川城跡に造られた住宅街が一望できる場所である。
南ノ原口の範囲を推察
方八丁館はメガステージ須賀川より118号線を挟んで西側の方に位置する。その東側に高久田館があり、この2つで須賀川城の南を防衛したと考えられる。南ノ原口というのは、この範囲なのだろう。周辺を探索してみよう。
並木町の住宅地と田んぼの間の道を通り、メガステージ須賀川に向かうと「下の川」に当たるが、この辺はちょっとした防塁に見えなくもない。この地形は要害の名残だろう。
メガステージ須賀川内では、遺構が確認できるわけ無い。初めて須賀川に来た時はまだ田んぼと野っ原だったのだが、その時に探索しておけばよかった。ヤマダ電機のそばにある橋から見た、メガステージと118線。この橋は南橋というので須賀川城の南という意味か、それとも須賀川市の南という意味なのか・・。
メガステージ須賀川の南東では、「下の川」が天然の要害となっている。方八丁館については、伊達政宗との戦い（1589年）と関係しているので「須賀川城の攻防図と古戦場」でも触れている。
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歴史年表と城郭基礎知識
同じ史跡でも時代によっていくつかの出来事があり、 時代推移の把握が必須となります。 そのため年表をまとめています。また、城郭散策のレポートではちょっと専門用語が出るので、城郭用語もまとめてあります。免責事項・ご連絡等
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