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パソ兄さんが、日本HPの東京・昭島工場を見学

2011年9月9日に、日本HPの東京・昭島工場を見学したのでレポートします。HPの特長である東京生産というのは昭島市の工場で作られていることを指しています。

昭島市といえば昭和飛行機工業のお膝元であり、昭和飛行機工業は戦時中、紫電改などをライセンス生産しています。最寄り駅の昭島駅は、その通勤者のために建設費を一部負担して建てられた駅なんだとか。

日本HPの東京・昭島工場を見学
HP昭島工場へ向かう途中、昭和飛行機工業を通過して行きました。東京といっても昭島市は奥多摩寄りにあります。都心のような喧騒がないものの、静かな場所というわけでもなく、近くに米軍横田基地があるため航空機の轟音を耳にしました。また、7kmほど歩けば戦国の名城・滝山城があります。

まず、工場見学紹介の前に、HPの沿革と東京生産モデルについて触れておきます。

HPの沿革

まず、その前にHPの沿革について解説します。HPは1939年創業の老舗メーカーで、DELLよりも遥かに歴史があります。1995年 HP Pavilion PCによって、HPは家庭用コンピュータ市場への進出。2002年には、大手PCメーカーのコンパックコンピュータを吸収合併しています。2011年の「日本HPアフィリエイター様向けゲームイベント」において入手した情報では、売上規模は年に約3兆円。出荷台数は年6400万台数、後進国にも隔たりなく供給しているため170カ国以上で展開しており、世界の5台にひとつはHPパソコンだそうです。実はパソ兄さんもDELLと並行してHPパソコンを購入したこともありますので、ユーザーとしてお勧めすることができます。

2011年第2四半期の世界シェアでは、HPが18.2%で1位。 2位の13%はDELL、3位の12.2%はLenovo、4位の10.7%はAcer、5位はASUSTeK。世界TOPシェアでは日本メーカーは圏外です。 一方、日本市場では世界市場と大きく異なります。「1位NEC(17.4%)、2位富士通(17.1%)、3位NEC(17.4%)、4位HP(9.8%)、5位DELL(9.5%)」※IDC Japanによる

日本HPの強みは、東京生産モデル

「日本HP」の強みのひとつに東京生産モデルがあり、東京都 昭島市の工場で組み立てられています。最初はデスクトップPC、ワークステーションが対象でしたが、2011年8月以降はビジネスノートPCも東京生産へ移行しています。

HPの東京生産モデルをレビュー
東京生産のメリットは、次の3点。「注文後5営業日で納品。故障などの発生率を低減。生産拠点が東京なので要望のフィードバックが早い」。 故障率では1999年と比べて2010年では1/4に低減しています。「日本生産だから品質がいい、中国生産だから悪い」と言うわけではありませんが、ユーザーに近い場所で生産していることは「あらゆるレスポンスが早い」というメリットになります。一方、DELLでは「DELL特急便」で即納にも力を入れていますが、国内在庫の組立て完成品のためカスタマイズ不可のデメリットを抱えています。

HPは「2900万通りの豊富なカスタマイズ」と豪語していますが、あれこれカスタマイズ注文しても早く手元に届くことを期待するなら、HPのほうが優位であることはいうまでもありません。

HPのサイトでは次のような説明があります。「PCの初期トラブルは、輸送中の振動や衝撃などが原因になることが意外と多い。そこでHP は1999年から日本生産を決断。 ISO9001の認定を受けた東京・昭島市の拠点で生産することにより、海外からの遠距離輸送に比べ、トラブルを劇的に低減。 」

HP昭島工場内の会議室にて

東京生産の歩みを解説
まず、工場内の会議室にて、東京生産の歩みを解説していただきました。そして見学時の注意事項を受けます。どうやら工場長さん自ら案内をしてくれるようです。

ノートパソコンの東京生産スタート
HPの東京生産はかなり前からあったようで、1999年に法人デスクトップPCが生産されています。パソ兄さんが東京生産を知ったのが2007年ですが、この年の3月から個人向けデスクトップPCが生産されました。
そして2011年8月8日からノートパソコンの東京生産スタートさせました。

東京・昭島工場のご案内
「TOKYO AKISHIMA HP FACTORY PASSPORT ~東京・昭島工場のご案内」という冊子が配られました。工場見学自体は一般向けにも行われているようです。パソ兄さんの工場見学においては「サイトでの紹介」という旨があり、条件付きで写真撮影の許可を頂いています。一般では撮影が禁止事項に含まれています。
工場内では声が届きにくいので、音声ガイドのレシーバをお借りしました。

日本HP昭島工場のPC生産ライン

PC生産ラインを見学日本HP昭島工場のPC生産ラインを見学します。大型エレベータで組み立てパーツが運ばれてくるところから始まります。PC生産ラインの工程は、「アッセンブリー⇒プリテスト⇒ラン イン⇒ソフトウェアインストール⇒梱包⇒抜き取り検査」。これを2シフト体制で昼夜切れ目なく生産。

1台あたりの生産時間は、デスクトップPCで3~4時間、ノートで6時間ほど。ワークステーションになると最大8時間になることもあるそうです。生産能力は1日約6000台。東京生産なので、カスタマイズ注文でも基本5営業日で製品をユーザーにお届けできるそうです。ちなみに海外生産だと10営業日というのが相場。

日本HP工場見学(工程1)/アッセンブリー~組み立て

LoginStation
アッセンブリー、つまり組み立ては6mラインの流れ作業。作業員は7~10人ほどで、約1分でPC1台を組み立てています。作業員一人が1台ずつ完成まで組み立てているのではありません。
アッセンブリーのスタート地点とも言うべきLoginStationではオーダーらしき紙があり、バーコードの読取作業が多々見られました。

1台1台構成の異なるカスタマイズPCなので、生産ミスが懸念されますよね。しかし、徹底したバーコード管理のため、人為的な生産ミスは無いそうです。搭載される部品に貼付しているシールには、番号とバーコードが印字されています。読み取りの際、異なる部品や搭載もれがあるとエラーメッセージが表示されて先に進めないシステムです。いわゆる「ヒューマン・エラー」が回避されています。生産指示書ではなくバーコード管理されているので、正確な生産だけでなくペーパーレスで環境に優しいとのこと。

アッセンブリー~組み立て
黒いトレイにPCが1台ずつ載せられ、流れ作業です。ちゃんと静電気防止の手袋をしていますね。

日本HP工場見学(工程2)/プリテスト~初期動作試験

ハードウェア構成の検査-初期動作試験
組み立てが終わったら、後方に続くプリテスト(初期動作試験)へ。 プリテストでは、ネットワーク経由で専用ソフトがダウンロードされ、ハードウェア構成の検査が行われます。CPUクロック、メモリ容量、HDD容量などのチェックが自動検査と対話式テストで行われます。この工程にかかる時間は約15~20分ほど。

デスクトップPC用に作業台上段にはモニタとキーボード類が配置
今回の生産ラインはノートパソコンですが、デスクトップPC用に作業台上段にはモニタとキーボード類が配置されています。PC自身がネットワークを通じて生産用サーバーと対話。作業員がオーダーID入力とバーコードスキャンをすると、サーバーから必要なシステムをダウンロードします。その後、自動検査と対話式テストでチェックが行われます。オーダーと違う構成だと作業が進行されないので、生産ミスがスルーすることはないそうです。

自動検査

診断プログラムが電気的に比較と認識を行い、オーダー構成との一致をチェック。

対話式テスト

作業員は一台一台の構成を知っておく必要はなく、モニタやスピーカから発する指示に従ってテストするだけ。

工程3:ランイン(連続動作試験)と、ソフトウェア インストール

プリテスト後、高負荷テストなどのランイン(連続動作試験)が行われます。ランインの後はソフトウェアインストールで、これらの作業時間は約2.5~8時間。ワークステーションが一番時間がかかるそうです。

高負荷などの連続動作試験
赤くてゴニョゴニョうごめいているのが、高負荷などの連続動作試験だそうです。サーバーを介して行われています。これは抜き取りテストではないんですね。つまり、お手元に届いたPCはすでに耐久性テストにパスしたという事です。

プリテスト後でも、人手を介さない機能検査が行われるようです。ロングランテストと言うものらしい。ロングランテスト後、正常であればOSやアプリケーションがインストールされます。インストールでは、サーバーから必要なソフトを自動ダウンロードします。

前工程のプリテストで、HDDにソフトウエア構成情報が記録されています。ですから自動的に必要なファイルをダウンロードします。作業員が判断して行う工程ではないので、人為的ミスは無いそうです。作業員がすることは、正常終了を確認するだけ。そして製品の梱包作業へと進みます。

組み立てたHP製品の、梱包と出荷作業

「梱包・出荷」ですが、箱詰めの前に「製品のクリーニング、外観検査、バーコード管理による付属品員数検査」があります。しかし、その現場は今回見ていません。見学したのは、「ラベル貼り」と「テープで梱包箱を封する作業」です。

HP製品の、梱包と出荷作業
赤いラベルが貼られると、レーンによって手前の作業員ところへ運ばれて来ます。あとはパレットに置くだけ。レーンの中間では、機械よって自動的にテープで封がされます。(写真では赤い装置が行っています。)
ラベルは一枚ずつ発行されるので、貼り間違いのミスはあり得ないそうです。一箱ずつ確実に作業が行われています。

HPのダンボール・パレット
これがHPオリジナルのダンボール・パレット。パレットとは輸送のために使う荷役台です。リフターで運ぶため、パレットに荷物が載せられます。一般的に流通で使われるパレットは木製なんですが、このダンボール・パレットは、HPが段ボールメーカーと協力開発したオリジナル。廃棄の際はダンボールとして扱えるので、100%のリサイクルを実現。「尖ったものには耐久性がありませんが、耐圧には問題なし」だそうです。2003年秋から段ボールパレットに切り替えています。

Merge in Transitというシステム
そして出荷。輸送業者配達店を経由し、ユーザーの元へと届けられます。Merge in Transitというシステムがあり、「モニタやプリンタなどの既製品」とPCを組み合わせて購入しても1回で届けられます。ちゃんとグルーピングして、別々に配達されないようにしているんですね。注文から基本5営業日納品が厳守。さて、今日見た製品はどんなユーザーの元へ届くのか?

補足:HP製品の抜き取り検査

抜き取り検査は、梱包された製品から一部抜き出して検査が行われます。抜き出す製品はコンピュータによって選ばれるそうです。抜き出されるのは全体の4%が決まりらしいのですが、実際は10%ぐらいやっているそうです。足元には開封した箱が見えます。

ユーザーの使用環境に近いテスト
抜き取り検査は、ユーザーの使用環境に近いことを行います。プリンタ出力や、DVD再生、光学ディスクへの書き込み、マイクとスピーカを接続し録音再生などです。地デジチューナーの接続などもあるそうです。

HPの振動試験機
こちらは振動試験機であり、トラック輸送時の振動耐久をチェックする装置です。時速100kmで1000km走行した状態を20分で再現します。1000kmというのは「東京から北海道へ輸送したときの振動」と理解すればいいです。この装置はHP昭島工場だけのもので、同じHPでも海外生産では行われていないそうです。工場長いわく、「振動試験機は、トヨタ・マークXが買えるほどのお値段!」だそうです。300万円前後というところでしょうか。

振動試験以外には、漬物石を載せた耐圧検査があるそうです。横置きデスクトップPCにCRTモニタを載せた場合の耐圧チェックです。まあ、今は軽量の液晶モニタが主流ですけどね。

HP昭島工場の見学レポートは以上です。DELLパソコンを選ぶ際には、一度HPパソコンと比較してみてはいかがでしょうか。カスタマイズ注文しても最短5営業日納品というのは、国内生産の強みですね。

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