戦国時代・田村氏の居城

三春城（舞鶴城）

三春城は福島県田村郡三春町にあり、三春藩の藩庁が置かれた。現在でも三春町の中心部であり、町役場など公共機関が集まっている。1504年、田村義顕が三春城を築城したと伝わっているが、実際の築城時期は分かっていない。16世紀初頭、守山城から三春城に田村氏の本拠を移したことはハッキリしている。田村氏は坂上田村麻呂の子孫を自称しており、田村義顕の後、田村隆顕、田村清顕と続くが、伊達氏、相馬氏、蘆名氏、岩城氏、佐竹氏の勢力に囲まれている状況であった。これらの豪族に力の劣る田村氏は、血縁関係を結ぶことによって領地を守ってきた。伊達政宗の正室・愛姫は田村清顕の一人娘である。

三春城跡は標高407mの丘陵地にあり、山頂の本丸・二の丸が城山公園として整備されている。（2016年8月登城）

田村清顕には男子がいなかったため、その死去後、相馬出身の清顕夫人が三春城主となった。そのため、田村氏家臣で相馬派と伊達派に分裂する。1588年、伊達派の田村月斎（田村顕頼）の反撃により、相馬義胤の三春城入城は失敗に終わる。
伊達政宗が三春城に入城し、相馬派を一掃し、清顕の甥の田村宗顕を三春城主にした。

1590年の小田原征伐では、伊達政宗の指示により田村氏は参陣できなかった（伊達氏に従属状態）。そのため、豊臣秀吉の奥州仕置により田村氏は改易させられた。

田村氏の以後、三春城は蒲生、上杉、加藤の領地と入れ替わり、1628年に松下氏3万石の居城となる。この松下氏時代に、山城ではあったが戦国の城郭から近世城郭へ改修された。1644年に松下長綱は乱心を理由に改易となった。

1645年に秋田俊季が55000石で入城し、明治維新で廃城になるまで続いた。辰戦争の際、三春藩は奥羽越列藩同盟を脱退し、官軍に無血降伏したため、戦場にはなっていない。廃藩置県により廃城され、建造物や石垣の多くは撤去されたが、遺構自体は保存状態が良い。福島県としては珍しく、中世と近世で同じ場所に城が築かれている。近世の城は本丸・二の丸・三の丸を中心に形成され、藩主の屋敷は現在の三春小学校の場所だった。現在、藩校明徳堂の表門が三春小学校の校門として移築されている。

お城坂という丘陵の中腹地に秋田氏時代の城郭マップが設置してある。ここらは重臣の屋敷が配置されたという。

腰曲輪の駐車場近くに長い階段があり、二の丸、本丸へと向かう。当時の登城道と同じようだ。切岸ではなかなか切迫するものがある。

三春城の二の丸の芝生広場まず矢倉の郭にぶつかり、さらに進むと、二の丸の芝生広場に出る。二の丸の先端にはかつて御三階櫓が建っており、天守閣のような城のシンボルになっていたようだ。

三春城本丸跡そして舞鶴城の標柱を越え、虎口を通ると本丸に出る。8月は雑草が生い茂っており、散策には向かない。冬場に行けばかなり見晴らしのいい山城を体感できそうだが、今回は断念。

三春城広間本丸の南側の広間。ここで初めてオニヤンマを目撃した。

本丸北側の奥跡。石壇には秋田家祖先尊霊の石碑が置かれている。この石壇は城跡ではないだろう。

城郭とは関係ないが、一応、三春駅を撮影。側の郵便ポストには三春駒が置かれていた。

田村氏の菩提寺・福聚寺

1339年、田村輝定により安積郡八丁目（郡山市日和田町）に創建された田村氏の菩提寺・福聚寺（ふくじゅじ）。16世紀初め、田村義顕が三春城を本拠としたため、この地に移された。田村公三代の標柱がある坂道をまっすぐ上ると、田村義顕、田村隆顕、田村清顕の墓がある。

石碑に刻印された順であれば、右から田村義顕、田村隆顕、田村清顕の墓だろう。

福聚寺境内の様子。かなりの丘陵地であり、三春城の出城にもなりそうな地形だ。嫁様の親戚の墓地でもあるので、ここには何度か墓参りに来ている。

高柴デコ屋敷

旧三春藩領にある高柴デコ屋敷は、1711～1736年のころには三春藩によって保護されてきた工人たちの集落。デコ屋敷はダルマ屋敷ともいう。江戸時代元禄年間に京都から来た職人によって張子人形作りが伝えられた。デコとはここの方言で三春駒や張子人形のことをいう。般若、翁、七福神の面、だるま、天神、俵牛など、数千点の木型が残されている。本物の三春駒はここ彦治民芸（民芸店）でしか購入できないとのこと。

デコ屋敷民家にお邪魔して工房を見学できる。