メモリの規格と仕様
メモリモジュールに搭載しているメモリーチップのDRAMは、現在ではSDRAM規格になっており、そのSDRAMも、DDR、DDR2、DDR3、DDR4へと世代交代しています。それらメモリの規格について解説します。
DRAM および、SDRAMとは
メインメモリとは一般的にメモリモジュールのことを指します。メモリモジュールに搭載されているメモリチップが、Dynamic Random Access Memory(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)であり、略してDRAMと呼ばれます。電源供給が断たれると記録情報も消える一時的な記憶媒体のため「揮発性メモリ」というジャンルになります。
DRAMの次世代、SDRAM (Synchronous Dynamic Random Access Memory)
初期のDRAMに対して効率よくデータ転送できるようにしたのがSDRAM (Synchronous Dynamic Random Access Memory) という規格です。現在のパソコンのメインメモリではSDRAM規格の系統が使われていますが、呼び方は単にDRAMで略されている場合もあります。
これはPowerMac G4(1999年)に搭載していたメモリーモジュール、SDRAM-DIMM(PC-100)。
※補足:DIMMとは基板(メモリーモジュール)の規格。その基板にSDRAMのチップが搭載されている。ノートパソコン向けには小さな基板の「SO-DIMM」が使われる。SO(small outline)
現在主流の、DDR SDRAM世代へ
さらにSDRAMが発展していき、「DDR」という規格が登場します。フルで書くとDDR SDRAM(Double-Data-Rate SDRAM)になります。メモリモジュールの規格まで入れて正確に書くと「DDR SDRAM-DIMM」ですね。ただ、SDRAM-DIMMまで入れると長ったらしいので「DDRメモリ」と省略されて書かれる場合が多いです。DDRは、DDR2、DDR3、DDR4~という世代で引き継がれています。
DDRではSDRAM(DDRなし)の2倍のデータ転送能力となます。さらにDDR2ではDDRの2倍、DDR3ではDDR2の2倍、DDR4ではDDR3の2倍・・と後継規格へ移行しています。DDRの世代が変わると互換性がなくなります。メモリの世代が交代する時期はパソコンのプラットフォームが大きく変わります。つまり、パソコンの買い換えタイミングとも言えます。
DDR SDRAMの各世代ごとで「切り欠き位置」が異なるため、誤って搭載することはない。当然互換性もない。
DDR SDRAM (2001~2005年頃 主流)
SDRAMという規格に対し、さらにデータ転送のタイミングを倍にしたのがDDR SDRAM。2005年ごろまで、インテルのCeleron DやPentium 4を搭載していた時代でメインだった。
DDR2 SDRAM (2005~2009年頃 主流)
DDR SDRAMから転送能力を2倍にしたのがDDR2 SDRAM。CPUがデータを必要とする前にメモリから先読みして取り出す機能(プリフェッチ機能/4ビットずつ)を備えた。 2005~2009年ごろ、NetBurst マイクロアーキテクチャのPentium Dや、CoreマイクロアーキテクチャのCore 2 Duo、Core 2 Quadの時代で主流。
2008~2009年にはマザーボードによってはDDR3が搭載できるものがあったが、Core 2 Duo、Core 2 QuadはCPU本体にメモリーコントローラを内蔵しないため、DDR3にしたところでDDR2と大差がなかった。
DDR3 SDRAM (2009年~2015年頃 主流)
DDR2 SDRAMから転送能力を2倍にしたのがDDR3 SDRAM。より一層の省エネ&低発熱。動作電圧はDDR2の1.8Vから1.5Vへと低くなった。CPUがデータを必要とする前にメモリから先読みして取り出す機能(プリフェッチ機能/8ビットずつ)を備える。
2008年11月以降から順次発売されていく第1世代インテルCoreシリーズ(Nehalem設計)からは、メモリコントローラーがCPUに内蔵するためDDR3のみの対応となる。それによって高速DDR3の恩恵が得られる。 引き続き、Sandy Bridge・第2世代Core (2011年~2012年)~、Ivy Bridge・第3世代Core (2012年~2014年)~、Haswell・第4世代Core (2013年~2015年)で主流のメモリ規格であった。
DDR3Lとは
DDR3では動作電圧1.5Vで規定されているが、DDR3Lは1.35Vで動作する低電圧・省電力規格。SandyBridge世代で対応し始め、Ivy Bridgeで正式サポート。
DDR3U
更に低電圧の1.25Vで動作。
DDR4 SDRAM (2015年頃から主流)
DDR3 SDRAMから転送能力を2倍にしたのがDDR4 SDRAM。DDR3 SDRAMと同様、CPUがデータを必要とする前にメモリから先読みして取り出す機能(プリフェッチ機能/8ビットずつ)を備える。
Skylake / 第6世代Core (2015年~2018年)以降で主流となっている。引き続き、KabyLake / 第7世代Coreプロセッサ (2017年)、CoffeeLake / 第8世代Coreプロセッサ (2018年~)、CoffeeLake Refresh / 第9世代Coreプロセッサ (2019年~)世代にて採用。
モジュール名とチップ名
DDR~に続く各世代がありますが、同世代のなかでも「メモリチップの規格」というものがあります。もちろん使用上の互換性はありますが、転送速度や周波数の違いがあり細分化されます。
それぞれ「モジュール名」と「チップ名」で細分化されています。例えばDDR3 SDRAMで、モジュール名が「PC3 6400」であれば「毎秒6400MB」の転送速度を持つ仕様です。そしてこのPC3 6400の場合、チップ名は「DDR3-800」であり、800MHzの周波数であることが分かります。同じDRAMの規格内であれば、異なるモジュールと組み合わせても動作するのですが、その場合、低いスペックの方に足並みを揃えてしまうようです。
同規格のメモリで、これらの数値が高いほど高速仕様です。しかし素人がハッキリ分かるほどの性能差はありません。むしろ、メモリ容量が大きいほうが処理能力の差を感じることができます。
DRAMの規格 | モジュール名 | チップ名 |
DDR SDRAM | PC 1600 (MB/s) | DDR-200 (MHz) |
PC 2100 | DDR-266A DDR-266B |
|
PC 2700 | DDR-333 | |
PC 3200 | DDR-400 | |
PC 4000 | DDR-500 | |
PC 4200 | DDR-533 | |
PC 4400 | DDR-550 | |
DDR2 SDRAM | PC2 3200 (MB/s) | DDR2-400 (MHz) |
PC2 4200 | DDR2-533 | |
PC2 5300 | DDR2-667 | |
PC2 6400 | DDR2-800 | |
PC2 7200 | DDR2-900 | |
PC2 8000 | DDR2-1000 | |
PC2 8500 | DDR2-1066 | |
PC2 9200 | DDR2-1150 | |
PC2 9600 | DDR2-1200 | |
DDR3 SDRAM | PC3 6400 (MB/s) | DDR3-800 (MHz) |
PC3 8500 | DDR3-1066 | |
PC3 10600 | DDR3-1333 | |
PC3-12800 | DDR3-1600 | |
PC3-14400 | DDR3-1800 | |
PC3-16000 | DDR3-2000 | |
PC3-17066 | DDR3-2133 | |
PC3-19200 | DDR3-2400 | |
PC3-21333 | DDR3-2666 | |
DDR4 SDRAM | PC4-12800 (MB/s) | DDR4-1600 (MHz) |
PC4-17000 | DDR4-2133 | |
PC4-19200 | DDR4-2400 | |
PC4-21333 | DDR4-2666 | |
PC4-22400 | DDR4-2800 | |
PC4-23400 | DDR4-2933 | |
PC4-24000 | DDR4-3000 | |
PC4-25600 | DDR4-3200 | |
PC4-28800 | DDR4-3600 | |
PC4-30400 | DDR4-3800 | |
PC4-34100 | DDR4-4266 |
CL(CAS Latency)~レイテンシ
CL(CAS Latency)とは、メモリがメモリコントローラから情報を受け取り、その命令が実行されるまでにかかる時間です。数値が小さいほど処理が高速に行われます。通常使用のためほとんどの製品はCL=9ですが、オーバークロック(OC)向けの製品ではCL=8というものもあります。
相性が肝心な複数チャンネル
また、デュアルチャンネル(2枚1セット)やトリプルチャンネル(3枚1セット)のように、複数枚のメモリを組み合わせて能力向上させる使い方では、各メモリの転送タイミングなどが一致しなくてはなりません。モジュールを合わせるのは勿論、相性一致のため製造メーカー(製造ライン)も統一させる必要があります。
そのような使い方をするなら、セット販売されているメモリ製品を購入したほうが安心です。
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