HDDはパソコンの中でも壊れやすいパーツ

大切なデータを喪失しないようにHDDの寿命と健康診断はしっかり意識しておきましょう。【管理その1】最長でも、寿命5年を目安に。【管理その2】異音がすれば、交換を意識。【管理その3】 S.M.A.R.T.対応のユーティリティソフトで監視。

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HDDの寿命と健康診断

HDDの故障を予期
大容量化と、1GBあたりの単価が低価格化するHDDですが、故障してしまえばデータ消失のダメージも大きくなります。そこで気になるのが、HDDの寿命と健康診断です。

HDDと同じ役割としてSSDもありますが、1GBあたりの単価が高く大容量のバックアップには向きません。なによりもSSDは電子を閉じ込めることでデータ保存しているため、自然放電によるデータ消失が怖いです。SSDは長期保存に向きません。

ブルーレイやDVDディスクならデータが小分けにできて「リスク分散」できますが、保存場所がHDDよりもスペースを取ります。ディスク代も馬鹿になりません。一番面倒なのが一度バックアップで焼いてしまうと、データの並び替えや不要なデータの消去などができません。焼き直しが面倒です。そのため、パソ兄さんはバックアップにHDDを重宝しています。ただし、モーターとディスク盤構成の駆動機械であるため、故障リスクが高いことは覚悟です。そのため、HDDの寿命と健康診断を常に意識においています。

データ復旧には莫大な予算が

ちなみにデータ復旧サービス会社「LIVEDATA」では、モーターやプラッタ損傷によるHDDだと1TBで126,000円～210,000円ほどのコストが掛かります。 2TBで147,000円～315,000円。復旧時間は平均12時間もかかるそうです。物理的ではなく論理障害であれば比較的安く、2TBで63,000円～ほど。（※XP、Vistaの場合。2011年2月時点）
・・・・できれば、お世話になりたくないものです。

HDDの主な損傷箇所

	ヘッドプラッタ上に保存されたデータを読み書きするヘッドが、一番故障率が高いそうです。ヘッドがプラッタに接触した状態で電源を入れると、プラッタに大傷を与え復旧不能。
	モータープラッタを回転させるモーターは、修復が一番難しいとされます。ただ、故障率は一番低いそうです。
	プラッタプラッタはデータはが記録されたディスク盤。落とした衝撃やヘッドの不良で摩擦により損傷することがあります。大きな損傷では復旧不能。
	基板制御基板やROMチップのショートは修復不可。故障原因としては停電や落雷、不安定な電源ユニットの使用で起こる過電流や過電圧。

プラッタにヘッドが接触したときにできた傷。こうなると完全にデータの破損となります。特に落下させたときのトラブルが原因です。その他、HDDメーカーでは故障原因として次のような使用が内部データの破損・消失する原因と述べています。

静電気、電気的ノイズの発生しやすいところでの使用
振動・衝動のある場所、ホコリの多い場所での使用
強い磁気のある場所、脱磁機の近くでの使用
高温多湿の場所、高温になった車内や炎天下での使用
直射日光の当たる場所での使用
コネクタ部に液体や金属が入った場合、タバコの煙が混入した場合
急激な温度変化による結露の発生状態での使用
HDD製品の中央部（正面ラベルの位置）を強く押さえて、変形させた場合

※日立GST製のHDD製品取扱説明書より内容を引用

振動・衝動による物理的なものや、電気ショックや磁気などの現象による故障は周知されていますが、意外と知られていないのはタバコの煙です。ヘッドとプラッタとの距離は非常に短く10nm以下と言われています。タバコの煙の粒子はそれより遥かに大きく、アクセス中に入り込めば故障の原因ともなりかねません。パソコンを使用している環境でタバコを吹かすなど言語道断なのです。

【管理その1】最長でも、寿命5年を目安に

HDDメーカーが提示している寿命はだいたい3～5年。某HDDメーカーによると「HDDは5年使うと、いつ壊れてもおかしくない」といいます。HDDは熱によってダメージを受けるため、経年劣化は避けられません。HDD復旧サービス会社においても5～6年ものが修理に持ち込まれやすいそうです。
HDDを長持ちさせるために、パソコン内部のたまったホコリは定期的に取り払う、夏場は特に空冷に気を使うなどします。健全だと思っても3年目あたりから新HDDへの引越しを考え、最低でも5年以内には交換です。交換後、旧HDDがまだ使えそうであればセカンドPCのシステム用HDDにいいですね。システム用であれば再インストールで復旧可能なので大したダメージではありません。

【管理その2】異音がすれば、交換を意識

老朽化が進み、ヘッドがなかなかデータの位置へ移動できないときは、何度も動かし駆動部とプラッタとが触れます。そのため、コンコン、カタカタなどの異音があります。こうなったら壊れる前に交換です。

【管理その3】 S.M.A.R.T.対応のユーティリティソフトで監視

現在、ほとんどのHDDやSSDではS.M.A.R.T. 【Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology】の機能を内蔵しています。S.M.A.R.T. とは内蔵された自己診断機能です。エラー発生率や読み書き速度の監視だけでなく、モーターの起動の通算回数、通電時間、温度などを測定しています。この状態を知ることで、故障の予兆を把握することができます。完全に故障を予期できるわけではありませんが、目安として交換タイミングが図れます。

※S.M.A.R.T.は、2008年以降に製造されたHDDにはほとんど備わっているようです。

S.M.A.R.T.情報を一覧できる監視ソフトで有名なのが、CrystalDiskInfoです。
「現在値、最悪値、しきい値、生の値」の4検査項目があり、「現在値か最悪値」が「しきい値」を下回ると危険サインです。

特に重要項目は、以下のとおり。

01	リードエラーレート	読み取りエラーの割合。しきい値以下ならプラッタかヘッドに問題あり。
05	代替え済のセクタ数	代替え処置された不良セクタ（記録領域）数。
0A	スピンアップ再試行回数	規定速度まで達しようとスピンアップし、再試行が繰り返された回数。
C4	セクタ代替処理発生回数	代替処理に失敗した回数を含む、代替処理の発生回数
C5	代替処理保留中のセクタ数	異常が見つかったため、代替処理が待たれるセクタの総数。
C6	回復不可能セクタ数	回復不可能なセクタの総数。

細かい項目の意味がわからなくても、健康状態のところに、「正常」「注意」「異常」の3段階で評価されるので、それを目安にしてもいいです。

温度環境も要チェックです。各HDDメーカーが保証している動作保証環境は、だいたい0～55度。それ以上の温度環境では回路の劣化が急速に進み、故障リスクが大です。
レポート等では30～40度までが長持ちする温度帯だそうです。体温くらいですね。触ってみて熱いと思うなら、エアーフローを考え直したほうがいいです。

個人的に危険ではないかと思う、インターフェース変換機器

HDDを裸で使えるアイテム
SATA規格のHDDを裸のまま、USB接続で使えるインターフェース変換器があります。即席で外付けドライブにできるアイテムなのですが、個人的に「危険ではないか」と思います。

この裸のインターフェース変換機器を使用したところ、HDDが動作不良となりデータが消滅しました。半年しか使用していないHDDなので老朽化ではないと思いますが、この変換器が原因ではないかと感じました。通常のHDDケースであれば制御基板を介してインターフェースコネクタと接続されます。そういった基板にはコンテンサなど安定パーツが搭載されていますが、この裸シリーズは電源が直に接続されています。

ハードディスクの電源
▲通常のHDDケースではSATAコネクタの接続には、制御基板を介している

裸のインターフェース変換機器を数十回に渡り使用してきましたが、運悪く過電流にでもあったのではないかと推測しています。ともあれ、リスクのあるアイテムではないかと思います。使うならデータ消滅のリスクが避けられる光学ドライブに使用したほうが良さそうです。

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	ヘッドプラッタ上に保存されたデータを読み書きするヘッドが、一番故障率が高いそうです。ヘッドがプラッタに接触した状態で電源を入れると、プラッタに大傷を与え復旧不能。
	モータープラッタを回転させるモーターは、修復が一番難しいとされます。ただ、故障率は一番低いそうです。
	プラッタプラッタはデータはが記録されたディスク盤。落とした衝撃やヘッドの不良で摩擦により損傷することがあります。大きな損傷では復旧不能。
	基板制御基板やROMチップのショートは修復不可。故障原因としては停電や落雷、不安定な電源ユニットの使用で起こる過電流や過電圧。